PandoraHearts
□恋煩い
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ギルバートが社交界でモテル事は聞いた。
まぁ、当たり前のことかも知れない。
養子ではあるが、公爵家であるし、容姿もルックスも問題ない。
ただ、限りなく女性に免疫がないだけで。
俺としてはダンスの申し入れがあったら受けて流せばいいのだと思うのだけど、ギルには出来ないらしい。
そんなことを思ってた矢先、シャロンちゃんが俺に話しかけてきた。
「オズ様、社交会でのギル様を見てみたいとは思いませんか?」
にこやかにシャロンは問いかけてくる。
「そりゃ、ギルのモテ気味とヘタレな様子を見て見たいと思うけど。」
と俺が言うとシャロンは嬉しそうに微笑んで、ブレイクは悪巧みを考えめかした表情で俺を見ていた。
「決まりですね。お嬢様。」
「そうですわね。それでは用意をしませんと。さあ、オズ様こちらへ来てください。」
ニッコリと微笑むシャロンだが反論は許さないという殺気が出ており、オズは仕方なくシャロンの言われるがままについて行った。
「やっぱりとっても似合いますわ。」
オズの出来上がりに満足したようにウットリと眺めるシャロン。
「本当に別人のようだよ。これなら、誰にもバレずに目的の彼に近づけますネェ。」
うんうんと頷くブレイク。
「さぁ、こっち向いてください。オズ様」
無理やりオズを振り向かせるとそこには誰がどこから見ても美少女としか見えない少女(少年)が立っていた。
薄付けの化粧だが、恥じらいの為に頬は上気し、やや上目遣いに見つめる瞳は涙目であり、より繊細で可憐なイメージをかもし出していた。
ドレスはアプリコットの色合いで、シフォンを何重にも重ねられたものだった。
身体の線は細く見え、足元はシフォンの素材を活かしうっすらと透けて見えるような可愛くも子供っぽくならないデザインで、
選ぶ際、シャロンが何度も合わせ見て選んだものだった。
「じゃあ、オズ君。上手くギルバート君をたらし込んでくるんですヨ。」
とブレイクが背中を押してくる。
「たらし込むたって、すぐバレるって。」
オズが言うと2人同時に
「絶対ばれません(ヨ)(わ)。」だった。