PandoraHearts

□色付いた世界
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オズをアヴィスに落とされてから、周囲が全て滑稽なものに思えた。
そして、何よりもオズを落とした犯人がオズの父親だったことに驚きを隠せなかった。
サイ・ベザリウスをオズの刃から守って、上半身前部に大きな剣跡が残り、その傷から高熱を出し、ベザリウス家に連れ戻されてからしばらく動くことさえかなわず、意識も朦朧としていた。
数日後、目を覚ましたオレはオズをアヴィスに落としたのは、サイ・ベザリウスだとオスカー様に告げたが、サイ・ベザリウスのアルバイは証言されており、そのまま、姿を消した。

オレは許せなかった。
サイ・ベザリウスが。
オズが何をしたと言うんだ。
オズの存在が罪なのだと何故言える。
オレの目にはサイ・ベザリウスは捻じれた存在にしか見えなかった。
何もかも光を失ったようだった。



そんな時、ブレイクから話しかけられた。
目的のために手を組もうと話しかけられた。

「僕はアヴィスに落とされたオズ坊ちゃんを取り戻したい。」

そう、駆け引きを持ちかけてきたブレイクに告げた。

「私も、叶えたい願いがあるんですよ。君が手を貸してくれるなら私も、君の願いの為に力をかしまショ。」

そしてオレはブレイクと手を組むことに決めた。

そして・・・・






10年の月日は流れた。

そして、俺達はオズがアヴィスに落とされた静寂の時計台のもとへ。

初めて見た時の面影はなくそこは荒れ果てた場所になっていた。とても残酷な光景。
守れなかった何より大切な主。

そんな時、オルゴールのメロディが聞こえてきた。
そこにあるものでは無く、空間から聞こえてくるような優しく切ないメロディ。
かつてオズと聞いた事のあるものだった。

そして、アヴィスの扉は開かれた。
傷ついたオズと黒ウサギを連れて。
一瞬の出来事だった。
まさに奇跡と呼べる展開で。

オズに駆け寄り抱き上げるとオズは以前と変わらない姿のままで、気を失っている。
やっと取り戻した大切なもの。

もう誰にも奪わせない、傷つけさせない。
どんなことをしても、何に変えても自分が守るのだと心に刻んで。




だけども、ギルバートは気づいているのだろうか?
「盲目的に尽くし一つの事にこだわり続けることで逆に失うこともあるのだと言うことを。」





end

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