PandoraHearts

□手の届く先に
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失ってから、取り戻す事だけを考えていた。

その為に、俺はベザリウス家を離れナイトレイ家に養子に入った。

オズを確実に取り戻す為に、その鴉の力を求め契約する事ができた。その為に汚い仕事だってやってきた。

オズをアヴィスから呼び戻すためだけに。

ただ、予定外だったのは黒ウサギと契約し違法契約者になっていたことだった。
違法契約者はパンドラが管理する契約と違い刻印が現れる。それがあった事は衝撃だった。刻印は時間が立てば刻々と進みアヴィスに落とされる。その前になんとかしなければならないと思っていたが、契約したのがまた、ビーラビットというのが驚きだった。アヴィスのチェインの中でも特殊な存在。
そして、アヴィスの意思と言葉交わせる存在だ。
しかし、こちらにオズを連れ戻してからはアヴィスの意思と会話が出来ないとバカウサギが言っていたが。

俺はともかくオズが傍にいるなら何でも良かった。助けるすべがあるならどんなことでもする。それが俺の覚悟だった。

でも、オズをアヴィスから連れ戻しても救われてきたのはいつだって俺の方だった。

俺がナイトレイの人間だと知ってもオズは
「たかが、貴族になったぐらいで俺がお前を手放すと思うなよ?」

「俺はベザリウスを裏切ったんだぞ・・・。」

オズはそれでも笑いながら、

「いいよ?おまえが望んでくれるならっ。」

俺はもうあの時の俺じゃない。
俺の手はもう血にまみれている。
それでも、お前がもう一度、俺を必要としてくれるなら、俺は・・・・

「俺は今でも貴方の従者でいたい。」

光に照らされた墓の前で、再び誓った願い。
オズは笑い、俺に
「久しぶり、ギルバート。」
と答えてくれた。

そして、俺は、今度こそは何があってもオズを守ろうと心に誓った。

今は手に届く距離に君がいるのだから。
光の中に微笑む君がいる。
守りたい全てのものから。たとえ誰を敵にしても。

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