その少女、陰陽を指し示す
□オープニング
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視界がどうしようもない程にぼやけている
もっと、ちゃんと、見ていたいのに
何故こんなにも目頭が熱いのだろう
「嫌よ!昌浩………!」
同胞が泣いている
声を上げて幼子のように我らが主に泣きすがっている
どうしてだ
何故、お前は、お前達は
死に際なのに穏やかに笑っているのか?
晴明もそうだった
笑いながら満足そうに逝ってしまった
お前も、お前も笑いながら逝ってしまうのか?
お前の死に納得できないのは俺達十二神将だけなのか
もう、俺達を導いてはくれないのか
どうして、人はそんなに脆いんだ
ぽつり、ぽつりと俺は問いかける
応える「声」はもう無い
冷たくなってしまって応える「声」はもう亡い
どうすれば、良いんだ
お前の言葉を信じて待っていれば良いのか?
死に際の癖に笑いながら穏やかにはっきりと言い放った
「また逢おう、平和な此の世で、朋達よ」
それがお前が遺してくれた最期の言葉ならば
俺達十二神将は
いつまでも待っていよう―――