少年陰陽師2

□似た者同士
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ずっと1人だった。

孤独の中、ただ一人。

同胞はいたが、ほとんど会話などせず、本当に挨拶程度だ。

十二神将でも天后や青龍は俺を忌み嫌って、挨拶程度の会話もしないが。

だからといってどうでも良かったが。



だが、あの時一人の人間が十二神将を式神に下し、俺に名を与えた時、俺の中に何故だか親しみを覚えた。

孤独であろうとする男が気になって仕方がなかった。だから、神気を最低限まで抑え、気付かれないように、離れた場所から見ていた。

その時はその感情がわからなかったが、今ならわかる気がする。

俺は、晴明の中に自分を見ていた。

晴明は自分にとって同士だったのだ。

人から半人半妖と忌み嫌われ、遥かに強い力を併せ持つ畏怖すべき存在。

「どうした、紅蓮?何かあったかのぉ」

晴明を見つめていた紅蓮はバツが悪そうに目を背ける。
晴明に気付かれる程見つめていただろうか?

「いや、なんでもない」

ただ…と言葉を続ける。

「お前も歳をとったと思ってな」

「何をいうか。まだまだ、若いもんには負けんわい」

相変わらず、負けず嫌いなと紅蓮は苦笑する

「ずいぶんと丸くなったと思ってな。昔は常にイライラしていたし、人を寄せ付けなかったが」

そういう紅蓮に対して晴明は笑った

「それは、紅蓮も同じじゃろう」

「そうだな。そういう意味では同士だったな」

「だが、紅蓮も変わった。他の神将、そして昌浩と関わる事によって。昌浩は紅蓮の支えになるじゃろう」

そういう晴明を紅蓮は目を細め見つめる。昌浩は今や紅蓮にとってかけがえのない存在だ。大切で、愛おしくて、くるくる変わる表情が自分の心を温かくする。光のような子ども。

その光が紅蓮の行く道を照らし出していく。

晴明は、この神将の痛みを理解し、癒してくれるそんな存在になるだろうと信じている。

どうか、この優しい神将が心を再び凍てつかせないように、ひたすら深く深く願っている。

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