少年陰陽師2
□想いは伝わる
1ページ/3ページ
昌浩の朝は早い。一刻でも早く起きて播磨で教わった修行をするのだ。
寝床から出て、井戸から水を汲み上げタライに移し、まず顔を洗う。
「うわー冷たい。でも朝、顔を洗うとスッキリ目が醒めるなぁ」
昌浩は大きく伸びをする。
すると昌浩の前に犬か大きな猫ぐらいの白い物の怪が現れた。器用に二本足で立って、タオルを前脚に持っている。
「ほい、昌浩」
「ありがとう。もっくん」
昌浩は優しく物の怪に微笑んだ。
「そう言えば、じい様目が覚めたんだよね。良かった」
そう言ってホッと息を吐き出した。
「あぁ、そうだな」
「吉野の里の皆も元気になったかな?」
「どうだろうな。まだ神気が戻らないようだがな」
「そうなんだ」
皆に早く会いたいと思う。元気な姿を見たいと。でも、異界に帰らない勾陳の様子を見ていると、他の神将達の受けた傷は大きいだろう。
「会いたいか?」
「会いたい…けど、皆が元気になるまで待ってるよ」
「そうか」
「うん」
そう言って、朝の修行を始め、出仕し、陰陽寮に出向き、帰ってきた頃に玄武が安倍家にいた。