十二国記
□あの日のあなたは
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朝議を終え、執務室で、案件に裁可を下していた手をふと止め仏蘭西窓を見やる。
その様子に近くの書卓で作業をしていたこの国の宰補は顔をあげ、主を見やる。
「いかがしましたか?」
その声に冢宰も女史も顔をあげる。
ふと何を思ったのか、
「お前私をあちらへ迎えに来た時のこと覚えているか?」
何をと言おうとした時、
「お前、こんな主は願い下げだ。と言ったんだぞ。」
窓の外を見ていた視線を景麒に向ける。
そのいきなりの言葉にうろたえ、主の視線を受けきれなくなり目をそらす。
女史とそばにいた冢宰は目を見開いた。
「あの時は私も気が高ぶっておりましたし、その失礼な事を申し上げたかもしれませんが・・・・」
目を彷徨わせる。
「そんな事、台補が・・・。」
祥瓊は驚いた表情で景麒を見やる。
景麒は気まずそうに、
「御身が危険でしたので、その・・・・。」