さあ立ち上がれ!英雄よ!?_

□7
1ページ/5ページ



「いい加減にしてくれ〜!」


今日も繰り広げられる鬼ごっこ。
いつものように廊下をダッシュしていた時、運悪く角で人とぶつかりそうになった。


「わっ!!」


俺の中にある、なけなしの運動神経を駆使し、反射的に体勢を捻り、正面衝突は回避した。
俺やるぅ…。
これで足首をやってたら笑うしかないけど…。

でも、回避したのは正面衝突だけで、来た人と肩はぶつかってしまい、幸い転びはしなかったものの、その人が持っていたらしい書類が床にぶちまけられてしまった。


「すみません!」


慌てて書類を集め出すと、上から「気をつけやがれ」と凛とした声が降ってきた。
あれ?この声って…。


「あ…」

「お前…」


その人…跡部さんも俺に気付いたようだ。
覚えていてくれたのが何だか嬉しかったのは内緒だ。


「あの、すみませんでした。俺の不注意で。
怪我はありませんでしたか?」


俺より幾分か低い位置にある顔は相変わらず整っている。あ、良く見ると目がスカイブルーだ。


「大丈夫だ。お前は怪我無いか?」

「大丈夫です」

「なら良い」


日吉…、やっぱりテニス部って…。


「居たぞ!」

「旭〜!!」

「げっ!跡部さん、本当にすみませんでした!それじゃっ!」


向こうから鬼達がやって来たのを見て、俺は脱兎のようにその場から逃げ出した。






_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ