さあ立ち上がれ!英雄よ!?_
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「おいおい。大丈夫か?旭」
「もうダメ…」
休み時間の鬼ごっこを終え、何とか自力で教室に戻ると苦笑いをした森野に迎えられた。
「帰宅部なんて言ってねぇで、どっか文化部にでも入れば良いんじゃないのか?」
「ん〜…」
それも手っちゃあ、手なんだけどねぇ。
でも、真面目にやってる人に申し訳ないっていうか…。
「森野〜、帰宅部みたいな文化部無い?」
「部活動に力を入れてるうちの学校に、そんなのある訳ないだろ」
「だよな〜…」
じゃあ、諦めてくれるのを待つしかないのか〜?
体力持つかな〜。
「どうしてそれ程までに帰宅部に拘るんだ?」
今まで何も言わずに聞いていただけの日吉のズバリな質問に、森野もウンウンと頷く。
「最初は、うちの親が共働きで、家になかなかいない人だから、弟のために早く帰ってやりたいっていう理由だったんだけど…」
まぁ、一生も中学生だし、アイツも中学入って部活で遅くなる事が多いから、別にもう早く帰らなくて良いんだけどさ。
でも、今更何かを始めるっていう気持ちにならないんだよなぁ。
「やってみたら楽しいかもしれねぇじゃん。なあ?日吉?」
「あぁ」
「それは分かってるんだけどさ〜」
こう、後一歩踏み出せないというか…。
な〜んて考えていたのが金曜日。
土日と姉にコキ使われながら、一生の遊び相手をしながらいつものように平和に過ごしていた俺。
日吉と森野との話しなんてスッカリ頭の中から消えていた。
そして、月曜日。
一歩を踏み出せないと言っていた俺の背中に蹴りを入れるように、強引に一歩を踏み出させる事を成功させる人が現れるのだった…。
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