さあ立ち上がれ!英雄よ!?_
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「いい加減にしてくれ〜!」
今日も繰り広げられる鬼ごっこ。
いつものように廊下をダッシュしていた時、運悪く角で人とぶつかりそうになった。
「わっ!!」
俺の中にある、なけなしの運動神経を駆使し、反射的に体勢を捻り、正面衝突は回避した。
俺やるぅ…。
これで足首をやってたら笑うしかないけど…。
でも、回避したのは正面衝突だけで、来た人と肩はぶつかってしまい、幸い転びはしなかったものの、その人が持っていたらしい書類が床にぶちまけられてしまった。
「すみません!」
慌てて書類を集め出すと、上から「気をつけやがれ」と凛とした声が降ってきた。
あれ?この声って…。
「あ…」
「お前…」
その人…跡部さんも俺に気付いたようだ。
覚えていてくれたのが何だか嬉しかったのは内緒だ。
「あの、すみませんでした。俺の不注意で。
怪我はありませんでしたか?」
俺より幾分か低い位置にある顔は相変わらず整っている。あ、良く見ると目がスカイブルーだ。
「大丈夫だ。お前は怪我無いか?」
「大丈夫です」
「なら良い」
日吉…、やっぱりテニス部って…。
「居たぞ!」
「旭〜!!」
「げっ!跡部さん、本当にすみませんでした!それじゃっ!」
向こうから鬼達がやって来たのを見て、俺は脱兎のようにその場から逃げ出した。
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