さあ立ち上がれ!英雄よ!?_

□2
2ページ/3ページ



来る時は良かった。全員向かう先は同じだから、その波に乗れば始業式が行われる体育館に着いた。

が、問題は帰り。全校生が一斉に教室に戻るのだ。教室までの道を覚えていない俺はまた迷子になる!そう思い、俺は慌てて、ばらけ始めたクラスの列にキノコ頭を探した。


「ひ、日吉!」


身長を生かして見付けた日吉に駆け寄ると、余程必死の形相をしていたらしく、何事だと眉を潜められた。


「教室まで一緒に行って良いか?」

「まだ覚えていないのか?」

「うん…」

「良いぞ」

「サンキュ」


また跡部さんに感謝しなければ。
事前に話をしている奴がいて助かった…。
じゃなかったら、あらゆる人に何かのゲームのように聞いて回らなければいけない所だった…。
流石にそれは恥ずかしい。








教室に戻る道すがら、窓から見える見事な庭と豪華な施設に目を奪われていると、突然腕を後ろからガシッと掴まれた。


「!?」


何だ、と振り返ると呆れ顔の日吉。


「はぐれて迷う気か」

「え?」

「教室はこっちじゃない」

「悪い…」


どうやら夢中になり過ぎていて、いつの間にか日吉とはぐれていたようだ。
景色に夢中になって逸れるって俺はお上りさんか。いや、紛う事なきお上りさんか…。


「日吉」

「何だ」

「あんがとー」

「…あぁ」


恐らく振り返って、俺がいない事に気付いて探してくれたんだろう。放って置いても良いのに、探してくれるなんて責任感が強い、良い奴だ…。
この学校の雰囲気でやっていけるか不安だったけど、跡部さんといい日吉といい、こういう人がいるならやっていけそうだ…。

なんて、単純かな?







_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ