参謀様と私の愉快な毎日

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今日1日、いつ柳蓮二が現れるか、鉢合わせしないように、とビクビクしていたが結局私の前に現れなかった。
何だか肩透かしをくらった気分だ。


「じゃあ、響子。また明日」

「うん。部活頑張ってね、精市くん」


帰りのSHRも終わり、帰宅部の私はいつものように帰路につく…………筈だった。








「よう」

「げ…」


正門に比べて人通りの少ない裏門で、柳蓮二が待ち構えていたのだ。何故、私の通学路を知っている…。


「随分不服そうな顔をしているな」

「いつもこんな顔だよ…」

「ほう。いつもそんな不細工な顔なのか」


何だ、コイツは…。


「確かに、あなたやあなたの周りの人間から比べたら不細工ですが何か?」


喧嘩腰で私より随分高い位置にある、憎らしいくらい整った顔を睨み付けるけど、余裕そうな笑みを浮かべるだけ。


「まぁ、俺はお前の容姿は興味無い」

「いっそ私の存在にも興味をなくしてくれると有難いんだけどね…」

「それは無理だ。こんなに面白そうな玩具を見付けたんだからな」


が、玩具だと〜!?
いやいや、落ち着け。ここで感情的になったらそれこそ奴を楽しませるだけだ…。


「それで?私に何の用?急いでるんだけど」

「携帯番号とアドレスを教えろ」

「……は?」


一体どんな無理難題を押し付けられるのかと身構えていただけに、その言葉に鳩が豆鉄砲をくらったように、私は呆気に取られた。


「何て?」

「何だ。頭だけじゃなく耳まで阿呆なのか?携帯番号とアドレスだ」

「どうして?」

「いつでも呼び出せるからだ」

「嫌」


そんな事を言われて誰が教えるか。


「…分かった」

「え?」

「教えたくないなら仕方ないな」

「…」


ふうと息を吐いた柳蓮二に、意外に分かってくれる奴?なんて思った。


「学校にお前がアルバイトをしているという事を伝えるしかあるまい」


思った私がバカだった…。


「…高校卒業するまで異性とアドレス交換してはいけないという家訓があるから無理」

「ほう。では、精市は何だ?」


くっ…。そうだ精市くんがいたんだった…!


「四の五の言わずに教えろ」

「……分かったよ。赤外線で良い?」

「あぁ」


渋々アドレスを交換した。着拒とメール拒否しておこうかな…。


「あぁ、もし拒否をしたら…分かっているな?」

「そんな事イタシマセン…」


怖っ!笑顔なのに、背中にブリザードが見えた!背筋に冷たいものが走った!

精市くん!鬼だよ!般若だよ!こいつ!!







【終】
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