mine
□SYA -See You Again-
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六十年経ちました。
眠る必要のない私は、いつも通り彼の隣りで彼の目覚めを待ちます。
彼は、目覚めませんでした。
二日、三日と時間がどれだけ過ぎても、彼の目が開くことはありませんでした。目覚めない彼の隣りで、私は酷く胸が苦しくなりました。哀しみに満たされ、涙が零れました。
初めての感情。初めての涙。初めての…恋?
これが、"好き"…?
なんて切なくて苦しいんだろう。
なんて苦く甘いんだろう。
流れる涙を止められないまま、私は彼の冷たくなった手に自分の手を重ねました。
私にはSYA…See you again(さようなら、また会いましょう)の意味が込められています。
ヒロトの最後の言葉は。
「また会おうね」
もう目覚めることの無い彼の目覚めを、私はいつまでも待ちました。
もうこの涙を留めてくれるぬくもりは、此の世界の何処にも存在しないのです。
end*