なにもかも越えて、ギャモンがすき。
□[呟き]
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危ねぇと思ってた時には既にアイツの腕を掴んでいて、引っ張り上げていた。
なんだか生気のないアイツが俺の上に落ちてきたから
「オイ、大丈夫か?」
そう聞くとアイツは俺の服をぎゅうっと掴んで離れないような体勢を作った
まるで甘えるようなかんじだ
それで俺は硬直状態
動く事ができない、つーか、喋る事が出来ない
顔に熱が集まるのが自分でも分かる
ってか胸っ!
そのっ…華麗が前に話していた…その胸が…さっき、チラッと谷間が見えた胸が当たってるんだがっ!
そんな俺の焦りを知ってか知らずか、アイツは抱きついたまま
「―――……」
何かを呟いてた。
第34話[呟き]
あの後、アイツは抱きついているのが俺だと認識するとすぐさま離れ、真っ赤になったままキュー太郎達と帰って行った。
まだ、アイツの胸の感触が残ってる
それを思い出せばまた真っ赤になる顔
「ギャモンさー。お姉ちゃんに抱きつかれたの思い出して赤くなってんでしょ?」
むーといかにも不満そうな華麗が俺にそう言った
「そ、そーゆーワケじゃ…」
そうだ、俺は華麗が好きなんだ、赤くなる必要なんて…
「っ///」
「あー!また思い出してるでしょっ!」
ギャンギャン騒ぐ華麗に困りながらも、あの言葉を思い出す
アイツがあん時に言った言葉を
[しょうご]
それは人の名前だったと思う。
可憐がどこか寂しそうに言ったその名前を何故だか気になった。
「ねぇ、ギャモン」
「あ?」
「お姉ちゃん、あの時、何て言ってたの?」
いつになく真剣な顔で聞かれ少し渋ってから答えた
「[しょうご]」
その言葉を発すると華麗の顔はアイツと同じような悲しい顔になった
なんだ“しょうご”って
fin。
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