聖魔の光石 非プレイ記

□5章 帝国の影
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―――境街セレフィユ


ヨシュア「………へえ。この街には闘技場があるのか。
ちょうどいい。稼がせてもらおう。

ん?あれは………シスター?
それもなかなかの美人とみた………
………どうかしたのか シスター?そんなに慌てて」

ナターシャ「きゃっ………す、すみません!」

ヨシュア「いや、悪い。
そんなにおどろかせる気はなかったんだが。」

ナターシャ「い、いえ!
こちらこそ、申し訳ありません。
私、先を急ぎますので、これで!」


ヨシュア「………行っちまったか。
ついてねえ………かなりの美人だったのにな。
まあいい。
任務までの間、闘技場にでも行くか………」



――――――――――


グレン「セレフィユ国境守備隊ザール隊長。
陛下よりの命令を、貴官に伝える。
ルネス王女エイリークが現在、グラド領へ向かいつつあるとの噂がある。
見つけ次第、最優先で拘束せよ。」

ザール「はっ!」

グレン「それと、もう一件。
我が帝国の裏切り者が一名、グラド城から逃亡した。
このセレフィユの街に潜伏しているという情報がある。
市街をくまなく捜索し、裏切り者を捕らえよ。」

ザール「ははっ!グレン将軍。
抵抗すればその場で処刑しても?」

グレン「………構わないそうだ。」

ザール「はっ!お任せを!
グラド帝国に逆らう不届き者に、血の粛清を!」

グレン「………貴官の働きに陛下は期待しておられる。
それでは以上だ。」

ザール「はっ!」



グレン「陛下への忠誠か………
私もあのように、それが唯一の正義と信じられれば………」

クーガー「兄貴、どうかしたのか?」

グレン「いや、なんでも………ん?」


ピロン♪


クーガー「………今の音は、兄貴のスマホ?」

グレン「陛下………」
(友だち追加されてる………)


――――――――――


エイリーク「………国境の街、セレフィユ。
この街に来るのは久しぶりです。」

ヴァネッサ「エイリーク様は、来られたことがあるのですね」

エイリーク「ええ。
以前、兄上と私がグラド帝国を訪問する際、
この街でルネスとグラドの方々に出迎えていただいたのを覚えています。
両国をへだてる堅牢な壁も、兵たちがにらみ合う砦もない。
国境を分かつこの街こそ、ルネスとグラドを結ぶ絆の証でした。」

ヴァネッサ「なるほど………」

ゼト「ですが………今、街はグラド帝国軍の支配下にあります。
街中に動物が溢れている

ヴァネッサ「結局グラドは動物国って扱いなんですか?

ゼト「はい。
最近は『グラド生類憐みの令』というものが発令されていると聞きます」

ヴァネッサ「そんな法出来てるんだグラド………」

エイリーク「………しかし、戦争は起きてしまいました。
ついこの前まで、あったはずの平和………人々の笑顔。
それを、取り戻さねば。
特にこの街では、のど自慢大会が活発でした。
ルネスグラド合同・セレフィユのど自慢大会、必ず復活させねばなりません」

ヴァネッサ(平和を取り戻したい理由はそこなんだ………

ゼト「その通りです。
………見たところ、市街の警備はさほど厳重ではない。
ルネス城を陥落させた今、この地を守る価値は低いと見ているのでしょう。
我々はなるべく人目につかぬように、警備の手薄な西門から………」


サレフ「そこの者達………すまないが、ものを尋ねたい。」

ゼト「エイリーク様と私の会話を邪魔するとは何者ですか!」

エイリーク「ゼト、黙りなさい?」

ゼト「はい。」

ヴァネッサ(うわあ、素直。

エイリーク「はいはい、何か?」

サレフ「人を捜している。
藍色の髪をした幼い娘を、見なかったろうか?」

エイリーク「藍色の髪………?いいえ、残念ですが………」

サレフ「そうか。すまない、邪魔をしたな」


エイリーク「………不思議な雰囲気の方でしたね。」

ゼト「そんなことより、エイリーク様にタメ口で話すとは、不敬罪ですね」

エイリーク「じゃああなたは過敬罪ですね。レイピア突き刺しましょうか?

ゼト「今日はそこまで酷いこと言ってなくないですか?」

エイリーク「その言動が既に酷いって言ってるんですよ」

ヴァネッサ(毎度ながら、王女と騎士の会話とは思えないな………)



グラド兵「追え!逃がすな!!あっちへ逃げたぞ!」



ゼト「何か騒ぎが起きているようです。
面倒そうなので、逆方向から行きましょう。

ヴァネッサ「いや行ってあげましょうよそこは!!



ナターシャ「はぁはぁ………」

グラド兵「反逆者ナターシャ!おとなしく降伏しろ。
降伏すれば、陛下の御前で釈明の機会が与えられるだろう。」

ナターシャ「待って下さい。どうか話を聞いて下さい!!」



ヴァネッサ「ほら!
なんか女の人が追われてますよ。助けてあげないと!!」

ゼト「エイリーク様以外の方を助けることに価値を感じません

ヴァネッサ「とんでもない騎士だよこの人!ルネス一の将軍がこの人!?」


兵士「捕らえよ。」

ナターシャ「待って!どうか信じて下さい!!
今の皇帝陛下は普通ではありません。
あなた方にもそれはわかって………!」

グラド兵「黙れ!
元々お優しかった皇帝陛下は、
最近ではL〇NEや〇witterやイ〇スタといったコミュニケーションツールを積極的に導入し、
時には我々のツ〇ートに反応して下さる!

更にお優しくなられているではないか!!」

ナターシャ「えっ、そ、そうなんですか………?」

ヴァネッサ(言いくるめられてるよ………)

ナターシャ「で、でも陛下は、前まではリアルの繋がりを重視しておられました!
それに、こ、公式アカウントがその、あんまり悪乗りするのは、いけないと思います!」

グラド兵「それは貴様の個人的好みだろうが!
フォロワー数を稼げればよりグラドが発展する!」

ナターシャ「わ、私は炎上しないようにと国のためを思って………」

ヴァネッサ(どうしよう、
やっぱり助けるのやめてもいい気がしてきた………



グラド兵「それに、陛下がお優しくなった証拠はSNSだけではない!
陛下は動物にも更にお優しくなられたぞ!」

ナターシャ「で、でも最近はやりすぎです!
『グラド生類憐みの令』とかいう法を制定されたではありませんか!
人間より動物の方が大切なんてことは、いくらなんでも………!」

グラド兵「確かに動物を重用する法を制定なされた!
しかし、我々人間が軽視されていると思うのならば、それは間違いだ!
これまで問題だった天馬・竜を売って金を稼ぐ役人を逮捕するとか、そういう目的で作られたんだぞ!」

ヴァネッサ(けっこう、ちゃんとした法だったのね………

グラド兵「貴様が陛下を何も分からず批判していることは分かった!
そのような不当な陛下への不敬は万死に値する!
抵抗すれば、この場で処刑して構わんとのお達しだ。かかれ!!」

ナターシャ「そんなっ!!!」



エイリーク「あのシスターがグラド帝国の反逆者………?」

ゼト「どう見ても反逆者ですね。放っておきましょう。」

ヴァネッサ(うん、
今はちょっとだけその反応に納得できる………


ナターシャ「あ………」

エイリーク「と、思ったらこっちに来ましたね。大丈夫ですか?」

ナターシャ「あなたは………?」

エイリーク「私はルネス王国の者です。」

ナターシャ「ルネス王国の………ああ!
あなたにお伝えしたいことがあります。
実は、今グラドは………」

エイリーク「待ってください。グラド兵が来ます。
お話は後で。今は敵を撃退します!」

ヴァネッサ「はぁ、ようやく本編に………
………ん?
待って、ちょっと待って下さい?」

エイリーク「どうかしましたか?」

ヴァネッサ「いや、なんか私の登場回数多くないですか?」

エイリーク「ああ、忘れていました。
せっかくなので、あなたはこのコーナーの
ツッコミ役を担当してもらいます


ヴァネッサ「待ってください!!!
このサイトのアホ文のツッコミ役って確実に疲れるやつですよね!!?!?


エイリーク「私とゼトだけでは、暴走しっ放しというのは、
序章のオニールというボスに怒られて分かったことです。
こう見えて、どなたかツッコミ役がいないか探していたのですが、
前章まで見た結果、ヴァネッサが適任だと判断しました。」

ヴァネッサ「2章冒頭で唐突に
得意技探し始めたのはその為だったんですか―――!!?


ゼト「エイリーク様の頼みで登場回数を増やしてもらえるのだ、感謝すべきでは?」

ヴァネッサ「嫌だ………
私はオー児ェとかいう人みたいになりたくない………

アンナ「あの子はあの子でボケ要素があったから自業自得よー。」

ヴァネッサ「唐突に誰か出て来たー!!?

アンナ「まぁ、毎章あなただけってことは無いと思うから、
あの子やゴードン君よりはマシな役回りだと思うわー。安心しなさいー」

ヴァネッサ「安心しなさいって言われても………」

エイリーク「そんなことより、早くグラド兵達に応戦しないと」

ヴァネッサ(こういう流れの時は正論言うんだもんな………)



――――――――――


―――セレフィユ 闘技場


傭兵「うおおおあーっ!!!」

ヨシュア「ちっ………俺とした事が、油断したか?」

傭兵「これで、とどめだ!死ね!!」

ヨシュア「………!」


傭兵「うおっ!?」

ヨシュア「最後の最後に、隙が出来たな………!」


ザンッ


傭兵「ぐああああっ!!!」

ヨシュア「………」


―――――


闘技場元締め「勝ちやがったか。
ほら、賞金だ。受け取れ」

ヨシュア「サンキュー。
………ふぅ、今回の相手は強かった。
相手が油断してなかったら………死んでたかもしれないな。
だが………面白かった。
これだから賭けはやめられねえ」

元締め「さっきの相手は、この闘技場の中でも腕利きだったからな」

ヨシュア「ああ。俺にもよく分かったよ。
………昔の友人を思い出した。」

元締め「ほう、友人?」

ヨシュア「ああ。
そいつと組んで、傭兵をやってた時代がある。
実力は俺よりも強いぐらいなんだが、どうも詰めが甘くてな。
最後の最後に油断して、とどめを格好良く決めようとするんだ。
その隙を突かれて逆転されたりしちまう」

元締め「その分、あんたは負けそうになっても、
冷静に相手の隙を見極めて、勝ったわけだ」

ヨシュア「ああ、だから稽古も俺の方が勝率は高かったね。
よく、晩飯を巡った賭けをして勝ってたよ」

元締め「ははっ、賭け好きなんだな。闘技場に来るだけはある」

ヨシュア「そうだな。
………あいつ、今、何やってんだろうな」


元締め「それよりあんた、強いよな。もう一戦、していくかい?」

ヨシュア「そうだな………まだ時間ありそうだし、そうさせてもらうか。」
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