聖魔の光石 非プレイ記

□1章 脱出行
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エイリーク「とりあえずレベルが上がりましたが、技と速さと幸運ばかり上がりますね、私」

ゼト「まぁそういうタイプの人ですからねぇ、エイリーク様は」

エイリーク「力が今まで一度も上がってないのが気がかりです。
もしかしてこれはヘタレたって奴ですかね?」

ゼト「私はヘタレたエイリーク様でも愛しています」

エイリーク「聞いてないです

ゼト「ついでにトイレから帰ってきたフランツもレベルアップしていますが、
力、速さ、守備と中々の良成長ですね」

エイリーク「成長良いんですね」

ゼト「平均的なタイプのソシアルですからね」

エイリーク「後ろからやってきた増援もさばきつつ、とりあえずボスに向かいますか」

ゼト「ボスはブレゲですね」

エイリーク「ブレゲってまたすごい名前ですよね。FEでしか出来なそうっていうか」

ゼト「濁点の付け方が絶妙ですよね」

エイリーク「まぁブレゲ弱いので、適当にレイピアぶっ刺したら必殺出て死にました」

ゼト「うぅん、序盤の雑魚って感じしますね」

エイリーク「まさにブレゲって感じですね。
さて、この砦の中にターナがいると思うのですが」


ターナ「エイリーク!?本当にエイリークなのね!」

エイリーク「ターナ、どうしてこんな場所に?」

ターナ「ルネスが陥落したって聞いたからわたし、心配でつい。
でもほんとに無事で良かった。
あ、エフラムは?エフラムは無事なの?」

エイリーク「兄上とは連絡が取れないですね。主にフォルデのせいで

ターナ「そろそろフォルデ解雇したら?」

エイリーク「いえ、ルネスは人出不足なのでそういう訳にもいかないのですよ」

ターナ「でもフォルデが大丈夫ならエフラムもきっと大丈夫よ。
とにかくフレリア城へ行きましょう。お父さまなら何かご存知かもしれないわ」

エイリーク「ありがとう、ターナ。」


フランツ「仲良しなんですね」

ゼト「ターナ様とエイリーク様は昔からのご友人だ。
色々アレな所もあるエイリーク様に付き合ってあげているから、
エイリーク様の中で珍しく友人以上に評価している人物なんだ」

フランツ「へー、流石ゼト様!エイリーク様の事なら何でもご存知ですね!」

ゼト「ふふ、なんたってエイリーク様検定なら私は1級だからな」

フランツ「そんな検定あるんですか?」

ゼト「作った。ちなみに受験者は私一人だ」

フランツ「虚しい………」



――――――――――



―――フレリア城


ヘイデン「ターナ!お前、また王宮を抜け出し追って!」

ターナ「趣味なんで

ヘイデン「何が趣味じゃ馬鹿者!
ミュラン城でお前がグラド兵に襲われたと聞き、どれほど心配した事か!」

ターナ「でもお父さま、私とても良い知らせを持って帰ってきたんです。
さあエイリーク!はやくはやく!」


エイリーク「ヘイデン様ですね。お久しぶりです」

ヘイデン「おお、エイリーク、無事であったか!」

エイリーク「はい、私は脱出してきました。
………ヘイデン様、父上はご無事なのでしょうか」

ヘイデン「………我が友ルネス王ファードは、
ルネス城にて無念の最期を遂げた。そう聞いておる」

エイリーク「………そんな。私のお小遣いが!」

ヘイデン「お前、本当に父親心配してたの?

エイリーク「なんて事。これから私はどこに金を頼れば良いのでしょう」

ゼト「私のお財布からいくらでも出しましょう。結婚してください」

エイリーク「隙あらば求婚するのやめてくれます?」

ヘイデン「………おほん。
卑劣なグラド帝国には、我がフレリアが必ず報いを与える。
エイリーク、疲れているだろう。しばらくはゆっくりとこの王宮で休むがよい。」

エイリーク「そうですね。ダルいのでしばらく休みます」

ヘイデン(ダルいからかよ………)


ゼト「ヘイデン様。エフラム様の消息をご存知でしょうか?」

ヘイデン「うむ、エフラム王子はグラド軍と激戦を繰り広げ、
生き残った部下達と共にグラドへ進撃したと聞いておる。
国境を突破し、今はグラド領内のレンバール城近くで孤軍奮闘しておるそうだ。」

エイリーク「………兄上、今も戦っておられるのですか?」

ヘイデン「うむ。天馬隊からの報告ではそう聞いておる。
祖国ルネスが滅んでなお一人で敵領へ攻め入ろうとは、なんとも勇猛な若者だ。
だが 今も無事でいるかどうかは定かではない」

ターナ「ヘイデン様。私はエフラムの援軍に向かおうと思います。」

ヘイデン「お前がかよ。
そこは妹のエイリークが先行けよ」

ターナ「だって、無茶すぎます!いくらエフラムだって、そんな!」

ヘイデン「いかんに決まっとるだろ!!」

ターナ「………じゃあエイリーク、あなたが………」

エイリーク「えー?私行くの?ダルイしキツイ」

ターナ「そこは嘘でも行くって行ってよー!」

エイリーク「えーだって………
兄上だし大丈夫なんじゃない?

ヘイデン「………まぁその通りだな。無茶をすべきではない。
エイリークにもしものことがあれば、わしはファードに申し訳が立たぬ。
そなたはこの王宮にて身を休め、戦が終わるのを待つのが良かろう」

エイリーク「ありがたいです。
お言葉に甘えて、休むついでにこの王宮のツボとかタンスとか調べさせてもらいますね」

ヘイデン「RPGの主人公かよお前は」


ゼト「………」


――――――――――


―――その日の夜。


コン、コン


エイリーク「ターナね。入って」


ガチャ

ターナ「よく分かったわね」

エイリーク「昔からの仲ですからね」

ターナ「ねえエイリーク、本気なの?
あなたの気持ちはわかるけど、シナリオ上そこは行った方がいいと思うわ」

エイリーク「そう言われると思った。分かってますよ、行きますよ」

ターナ「え、でもさっきダルイって」

エイリーク「ああ言っておかないとヘイデン様心配するでしょ?」

ターナ「そりゃあ、そうだけど、突然抜け出された方が心配するような………」

エイリーク「大丈夫。
私はこの『エイリークの魔符』を使って、もう一人の自分を召喚します」

ターナ「なんか都合良さそうなもの出てきたわね」

エイリーク「まぁクラスが花嫁だったり、弓使えたり、杖使えたり、
色々とぶっ飛んでる所はあるけど、しばらくはこれで誤魔化せるでしょ」

ターナ(誤魔化せるのかしら………?)

エイリーク「あぁ、それと、ゼト。」

ターナ「え?」



ギギギギギ



ゼト「ここに。」

ターナ「きゃああっ!!?クローゼットが開いていきなりゼトが!!?」

ゼト「これがほんとの、苦労ーゼット、なんて」

エイリーク「レイピア突き刺すぞ

ゼト「失礼しました。
しかし、よく分かりましたね、私がここにいると」

エイリーク「あなたが私の割り当てられた部屋のどこかに隠れてるなんて推測済みです」

ターナ「え、それは良いの………?エイリーク」

エイリーク「何年ゼトに見られてると思ってるんですか」

ゼト「ははは、かないませんな、エイリーク様には」

エイリーク「処罰は戦のあとできっちり下します。
それより、これからここを抜け出して兄上の下へ向かいます。良いですね?」

ゼト「そう来ると思って、人を呼んでおきました」



ガチャッ



モルダ「ほっほっほ」

ヴァネッサ「失礼します」

ギリアム「失礼する」

ゼト「この人たちを護衛につけ、エフラム様を救出に向かいましょう」

エイリーク「ゼト、そういうとこは物分かり良いですよね」

ゼト「何しろエイリーク様を愛してますから」

エイリーク「……それはよろしいのですが
あなた達は大丈夫なんです?」

ゼト「大丈夫です。
ヘイデン様には、ヒーニアス王子の援護に行くって事にさせました」

ヴァネッサ「………嘘をつくのは不本意ですが」

モルダ「まぁこれも、何かの縁。
それにエイリーク様を放ってはおけませんからな」

ギリアム「右に同じ」

ゼト「それと、ここの輸送隊を買収して常にエイリーク様に着くようにしました」

エイリーク「こういう時は本当、優秀ですね。ありがとうございます、ゼト」

ゼト「はい。あの、お礼と言ってはなんですが」

エイリーク「結婚は認めませんよ」

ゼト「いえ、その前にエイリーク様の魔符を一枚下さい

エイリーク「ゼトやっぱ置いてくわ

ゼト「冗談、冗談ですよ、行きましょう」



ターナ「………」

エイリーク「あぁ、お金は、タンスとかツボから出てきたので5000は手に入れたので大丈夫ですよ」

ターナ「本当に調べてたの!!?」

エイリーク「そんな感じです。行きますよ、みなさん」

ターナ「え、えーっと………
逆にあまりに展開が急でびっくりしてるけど、
えっと、必ず無事で戻ってね」

エイリーク「はい。
それでは、この窓から逃げ出しましょうか」

ゼト「なんか悪い事してるみたいですね」

フランツ「実際悪い事なんじゃないですか?これって」

ギリアム「まぁ、本家の展開ガン無視だしな」

ヴァネッサ「二次創作だから大丈夫なんじゃないです?」

モルダ「ほほ、メタ発言とは感心いたしませんな」



エイリーク「………」

ゼト「エイリーク様?どうしたのです?」

エイリーク「あっ、ゼト?いえ、何でもありませんよ?」

ゼト「そうですかね」

エイリーク「もう、また求婚してきても認めませんから。行きますよ!」

ゼト「はい。」


エイリーク「………」



―――『………我が友ルネス王ファードは、ルネス城にて無念の最期を遂げた。そう聞いておる』




エイリーク「………泣くには早い。ですよね?兄上」
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