魔法少女リリカルなのは

□第0話
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とある一軒家の一室


外はもう真っ暗


ベッドに一人の黒髪の中年の男性が仰向けの状態で天井を観ていた



「私の命はもう長くは、ない・・・・」



「そんなことありませんよ、旦那様」



ベッドのすぐそばに白い髪の毛、白い尻尾が特徴の執事服を着た男性がいた


「悟ったのだよ、己の死期を・・・・」


「・・・・・」


「リリアよ・・・」



「・・・はい・・・・」


リリアと呼ばれた白髪の男性は数泊おいて返事をする


「私が死ねば、恐らくお前への魔力供給がストップしお前は消滅してしまうだろう」


「僕は旦那様の使い魔ですから」


「私が死に、お前が消滅してしまうと、蒼空は家族がいなくなってしまう」


「・・・・・」


「そこで一つ頼みがあるんだが・・・・・」


「何なりとご命令を」



――――――

――――

―――



翌朝



昨夜の部屋に中年の男の一人息子がドアをノックをして入ってくる


『お父様、お体の具合はどうですか?』


「ああ。いたって健康その物だよ」



中年の男は努めて笑顔を作りベッドに横になりながら自分の傍にやってきた息子の顔を見る


『・・・・・・』


しかし蒼空は自身の父親の体調が普段以上によくないのだと、理解する


どの程度まで酷い状況なのかは知らないが、とにかく悪いことは明白だった


『・・・・・そういえば、今日はリリアはいないのですね』



父親が嘘を付いていることはわかったが、それを指摘したところで本当のことを話してはくれないだろうと思い、蒼空は話題を変える


部屋にはベッドに横たわっている父のみ


いつもは白髪の男性がいるのだが、今日はいない


そのことに疑問を抱く


「なぁに、どこかへ散歩にでも出かけているんだろうさ。何せあ奴の素体は白馬だからな。部屋に閉じこもっているのは辛いんだろう」


そんなものは当然嘘


リリアが自分の父親を主人としてどれだけ慕っていたかは幼い蒼空といえども観ていてわかる


父親の為、自分を学校へ行かせるために常に看病を続けてきたあのリリアが自分の為に時間を割くなど、まして主人の体調が悪化している時にいないなどはあり得ない



「そんなことより、蒼空、父さんからのプレゼントだ」


父親の右手には丸く青い宝玉の首飾りがあった



『・・・・これは・・・』


「売れば数千万はくだらない超貴重な宝石だぞ〜お前にやる。売るも捨てるも好きにしていいぞ」


『そのような大切な物、受け取れません』


「子供が遠慮するでない。ホラ受け取りなさい」


そう言って父は左手で蒼空の右手を掴み無理やり渡す


『・・・・・・大切にします』


ここまで強引な父を初めて見て呆気にとられてしまうと同時に受け取らなければならないと思いしっかりと両手でペンダントを握りしめる


「そうか、大切にしてくれるか。そりゃ渡した甲斐があったってモンだ。さぁ今日も学校があるんだろう?行って来い!」


『・・・・しかし、今日はリリアの姿が見えないのに・・・・』


「私のことなら心配はいらん。お前は学校に行きなさい」


蒼空は今まで学校を父親のことで休んだことはない


それはリリアが寝たきりの父親を看病していたから渋々学校へ行ったいた


そのリリアが今日は何故か姿が見えない、なら誰が父の面倒を見るのだろうと


普段なら抗議するところなのだが、何故か今日は従っておかなければならない、そんな気がしてならず蒼空は父親の言う通りに従って学校へと向かう


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