ましろ色シンフォニー

□第5話
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『まさか食べ過ぎて死にそうになるとは思わなんだ・・・・』


「奇遇だな悠梨、俺もだぜ・・・・」


昼休み、悠梨は隼太と一緒に自分の席に突っ伏していた


「二人とも大丈夫・・・?」


「何で新吾は平気そうなんだよ・・・」


『間違いなく俺たちと同じくらい食べてた筈なのに・・・・これが紳士にのみ許される不思議な力、か・・・』


「そんな力ないよ・・・・ι」


悠梨の言う通り新吾もかなりの量を食べた筈だが何故かいつも通りだった


『けど・・・例え紳士どんな凄い力があろうとも、俺は屈しない!邪道に生き抜いてやる!!』


「悠梨・・・・何言ってるのかさっぱり理解できないんだけど・・・・ι」


悠梨と新吾がそんな話をしていると・・・


「三人大丈夫?」


「ごめんね、私らがいっぱい食材を使ったせいで・・・・」


二人の結女生徒が謝罪とそして心配をしていた


『!!・・・あぁ、気にしなくても大丈夫だよ、ね、新吾、隼太!』


「えっ?ん〜まぁな・・・・」


「あっ、う、うん・・・・」


悠梨は女子に話しかけられると机に突っ伏していた状態から勢いよく立ち上がり無理やり作った笑顔で対応する


新吾と隼太はそんな悠梨の様子の変化に少し戸惑いながらもとっさに合わせる


「・・・・・・・・・・」


「どうかしました?紗凪さん?」


「ん?いや・・・・なんでもない・・・・」


遠くから紗凪が悠梨達のことを見ていたことはアンジェしか知らない


「ふん・・・・・あんな点数稼ぎに・・・・」


遠くで愛理が背を向けて呟いていた


「お邪魔します・・・・」


そんな時桜乃が2―Tの教室に訪れる


「お客様です!」


アンジェが嬉しそうな顔で桜乃を迎える


『あっ、桜乃ちゃんだ』


「えっ?ホントだ、どうしたんだろう?」


悠梨と新吾、隼太がそれを発見する


「ようこそ。いらっしゃいました!以前お会いしましたけど、改めて、わたくしメイドのアンジェと申します〜っ」


「はい、失礼します」


「ではでは、どうぞお入り下さい。早速お茶をお淹れいたしますので〜っ♪」


「お茶は好きです」


アンジェに歓迎されながら桜乃は教室へ入ってくる


「桜乃、どうしたのよ・・・・・」


「はろー愛理」


「いや、お茶目はいいから!」


『あんな風に愛理に気軽に声を掛けられるのは桜乃ちゃんくらいだろうね』


「悠梨も統合初日は相当気軽に声かけてたと思うぞ・・・・ι」


「うん。男子のことを快く思っていない瀬名さん相手に普通に追いかけていったし・・・・」


隼太と新吾が言っているのは愛理が講堂を去って行った後悠梨が追いかけて行った時の話だろう


「何で、ウチのクラスに・・・・」


「遊びにきたの。せっかく同じ所に通っているんだし」


悠梨達が統合初日の話をしている最中も愛理と桜乃の方もほぼ同時に会話が進み、何やら愛理が困っていた


「・・・・・・・・・・・・・」


愛理は新吾のことを見る


妹と仲良くても兄である新吾とは仲が良くない


もっとも愛理が心さえ開けば全て解決する問題だが


「兄さん」


「ああ、うん。とりあえず、いらっしゃい」


クラスの視線が桜乃へと集中する


「妹です。兄がお世話になってます」


桜乃は礼儀良くお辞儀すると近くの椅子の借りて新吾の近くへと座る


「・・・・・・兄さんと隼太さん、悠梨さん、お昼は?」


「いやさ、4限目は特別カリキュラムが調理実習でさ〜」


『色々あって食べ過ぎちゃってね・・・・とてもじゃないけど、お昼ご飯は食べれないかな・・・・あっ!でもさっき新吾は平気そうな顔してたし、大丈夫なんじゃない?』


「ごめん。はっきり言って無理。お腹一杯。お弁当は夜食べるよ」


新吾はお腹をさすりながら言う




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