ましろ色シンフォニー
□第3話
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「よ〜し、新吾、悠梨、着替えてグランドに行こうぜ!」
『隼太はブレないな…いい意味でも悪い意味でも』
「………」
隼太が近づいてきて声をかける
ニッコリ顔の悠梨と正反対にげっそりした新吾
「だっはは。新吾が今にも死にそうな顔してるぜ」
隼太は新吾の顔を見るなりニヤッとした表情で冷やかしに入る
「…正直、この空気に耐えられる気がしない」
「骨なら拾ってやるぜ?」
『葬式になったら野次くらいは飛ばしてもいいぞよ?』
「隼太のはともかく悠梨の発言はおかしいよね、完全に俺死んじゃってるし…(葬式の場で野次飛ばすのもどうかと思う)」
『まあ、細かいことは気にするな友よ。さあ体育だ!さっさと更衣室なりにでも行って着替えを済まそうではないか!』
三人は着替えられる場所へ移動する
*****
『なん…だと…!?』
数分後に悠梨が発したのは驚愕を露にする一言だった
『なんで…なんで…』
その声は震えていた
『なんで更衣室がないんだよー!!!』
各務台男子一同の声を悠梨が代弁したセリフは結女の校内に響き渡った
「…まさか仮統合初日だからまだ更衣室の準備はまだできてないなんてな」
あの後着替えられそうな場所に移動していたのだが、場所がわからずグランドに先に行き体育教師に更衣室の場所を聞いた結果まだ男子用の更衣室が出来ていないらしい
『茂みに隠れて着替える日がこようとは…』
悠梨は肩をがっくり落としていた
*****
『!!?』
悠梨は再び驚愕する
『なん…だと…!?』
「そのセリフ今日二回目だよな」
思わず発した声に隼太は苦笑いを浮かべている
場所はグランド
着替えが終わり男子、女子とも体育教師のもとに集合していた
悠梨が驚いたのは授業内容だった
『これはどう考えてもおかしいだろう…』
「でも、まあ、体育の最初の授業っていったら体力測定は定番だしなぁ…」
隼太は腕を組み特に授業内容には疑問は抱いていないようだ
『待った、それはわかる。だが、なんで50メートル走にシャトルラン、反復横跳び、1500メートル走を今日一日で全部やらなきゃならないんだよ』
そうこの日の授業内容は明らかに詰め込みすぎ
どう考えたって体力がもたない
普通は分けておこなうだろう
「まあ、各務台の連中は今日が結女での初めての授業。結女は4月からやっているが、俺たちは結女では最初が10月だからなあ…その遅れを取り戻そうってこったな」
『でも各務台の女子は今日は50メートル走だけって…』
悠梨は涙目になりながら隼太に訴える
「お前なあ…女子に俺たちと同じメニューをやらせる気か?それりゃ無理があるぜ」
『男子だって無理だようっ!』
「っていうかシャトルランとか反復横跳びとかは普通体育館でやるんじゃ…?」
新吾の口からでた疑問
「…ああ。最初に50メートル走、次に1500メートル走を二回連続で行って、それから体育館に移動してシャトルラン、反復横跳びだってさ」
隼太はさも当然のように言う
『…悪夢だ…』
隼太の言葉を聞き悠梨は先ほどの新吾のような死んだような顔をしていた
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