□『双子と恋人』
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ふたりとひとり




ふたりぼっちで生きてきただけに
双子は別々にベッドが用意されていても
いつのまにかどっちかのベッドに潜り込んで寝ていることが多い。
「30代になってそれはおかしい」と
ゲーフェンは指摘したことがあるが
どうしてもふたりでないと駄目らしく
なんとかして一人寝をしようとしたら
悪夢を見て精神が不安定になり
体調を崩す前にゲーフェンが気付いて説得して以来、たまにゲーフェンも一緒に川の字で寝ている。

「寝るぞ」
「はーい」
「…うん」
ゲーフェンが寝床に横たわると、双子が嬉しそうにくっつく。
外では「アルヴァレス兄弟」として
奇異の眼で見られることもありながら
つとめを果たす彼らが
ゲーフェンと三人きりになると
とたんに甘えだす。
それが可愛くて、愛しくて
ふたりを命の限り
守りたいと願う。
寄り添うふたつのぬくもりをしっかり抱いて
ゲーフェンはキスをする




互いを愛しながら
双子と恋人の
愛おしい日々は
ゆっくりと過ぎていく。




『双子と恋人』





「涎をこぼすな阿呆!」






END
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