□『にゃんにゃんの日』
5ページ/5ページ


『肉食系彼氏』




「……………」
ゲーフェンが
苦虫×100000クラスの
今までに無い苦い顔をしながら椅子に座っている。
その頭とお尻には
ぴんと立った狼耳と
ふさふさの尾が生えている
髪の毛と同じ色のそれらは
大層似合っていた。
その姿を
どこかうずうずしている様子でアルヴァレスが見ていた。
「ゲーフェン君、そうイライラしちゃ駄目だよ」
「いつ治るか見当もつかんのだぞ…」
もし治らなかったら
という言葉を飲み込み
またゲーフェンの眉間に皺が寄る。
「大丈夫だ、私はどんな君でも好きだから…ね?」
隣に座ると
そっと膝に手をやる。
「耳や尾のひとつやふたつ、治っても治らなくても大したことないよ、君を変だって馬鹿にする奴がいたら、私がシメるからさ」
アルヴァレスを
ゲーフェンは少し感動したように見つめる。
「大丈夫だよ…」
ぎゅっと抱きしめられ
優しく髪を梳かれ
いつも以上の心地よさに
ゲーフェンはぴくんと肩を震わせた。
そのままアルヴァレスは
犬にするように首の後ろをさする。
「…っ、おい」
ゲーフェンは不機嫌な顔をするが
その尾はパタパタ嬉しそうに揺れている。
『…これは』
やたらと気持ちいい
「ぐ……」
わっしゃわっしゃと撫でられ
千切れんばかりに尾が揺れる
「お前…楽しんでるだろ」
「ん、少しね」
「少し、か?」
こいつめ、と呟いて
ゲーフェンはアルヴァレスを押し倒す。
「食われたいのかお前は」
くくく、とアルヴァレスが楽しそうに笑う。
「いつもお腹いっぱい食べてるじゃないか」
「…まぁな」
がしがしと頭を掻いて
とりあえず、まぁ

いちゃいちゃすることにした

すっかり飼い慣らされてる感が漂うが
それも悪くない気がして
狼は犬のように撫でられながら
小さく、笑ってみせた。

『かわいい』
『癪だからそろそろ形勢逆転するか』









                END
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ