□『にゃんにゃんの日』
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『猫にまたたび』



どうもブリタニアには
古来から不思議が存在しているらしく
立春や秋の一番深まる頃、四季の最も濃ゆくなる時期になると
何かと不思議が起こるのだが
今回は…

「どうしてこうなったんだ…」

布団を頭から被り
アルヴァレスは凹んでいた。
気持ちに合わせて
憎たらしい耳と尾が
へちょん、と
下がっているのが
またまた憎らしくて
大きくため息をついた。
ローザやトリストラムからは
「一日寝れば治る」と
解決策にもならない解決策を提示され
ふてくされに近い気持ちで
ごろん、と横になる。
「はぁ…」
ガチャッ
「アーベルジュ殿」
「パーシーくん…?」
入ってきた恋人に
アルヴァレスの猫耳が
ぴこん、と立つ。
「治りませんね、それ」
「うん…」
パーシーが近付くと
アルヴァレスの嗅覚が
不思議な香りを捉える。
「………?」
何とも言えない香りは
パーシーが近付く度に強くなっていき
ぞわり、とアルヴァレスの身体の奥から
衝動じみた感覚が沸き上がっていく。
「え、きみ、何か…」
「あ、その…」
パーシーが木の棒を取り出すと
香りが強くなり
アルヴァレスの腰の奥が
まるで行為の時のように疼き出してしまい
ぎゅ、とアルヴァレスはシーツを握る。
「ローザさまに持たされたんですが、これは」
「…ん、多分それ、またたびだ…」
「またたび?」
香りの魔力に抵抗できず
くったりとうつ伏せる。
「アルベールさんっ!?」
慌てて近付いたパーシーが
背中に触れた瞬間
びくんっと快感が弾ける。
「あっ、あ、ぁっ」
「っ…!?」
あられもない嬌声に
パーシーは驚く。
「――っ、も…だめ、身体が…ごめん、止まんない…っ」
がばぁっと
発情期さながらの姿で
パーシーを押し倒す姿は
滅多に見られない
アルヴァレスの泥酔した姿と同じだった。

ちゅぷっ
れる、ちゅ、ちゅうっ
「…は…妬けますね」
ぎゅうっ
「ひゃうっ!?」
こりっ、こりこり
「や、付け根…や、だ…」
「じゃあ、こっちも舐めていただけますか…?」


最初押され気味だったパーシーも
最早後半ノリノリで
一晩にゃんにゃんしまくり
翌朝耳は跡形も無く消え
アルヴァレスは腰を押さえながら
色んなモノで濡れているまたたびを見て
男泣きに泣いた。






END
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