ヘルキチ
□あの顔
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この前、ドグマが人間になった。
そのときのドグマは、悪食伯爵とかじゃなくて人間らしく感情を表にだしていた。
今はもう元に戻ってしまっているが、やっぱり僕はそのままのほうがいいと思った。
なぜなら――…
「おいサトル。聞いているのか」
ゴスッ
「痛ーっ!?」
イヤミなくらい長い脚が僕の頭を小突く。
「な、何だよ!!」
「うむ。だから、さっきから熱い視線を送られてるぞ」
「え?」
くるっと振り向くと、ドアの陰に立花君。
「…立花君?」
「守屋君…今日は、いい匂いがする」
「ふぇっ!?」
いつの間に近づいたのか、すでに目の前に立花君が来ていて、首に顔をうずめられる。
「…」
ガンっ
ドーン
何が気にいらなかったのか、ドグマにいきなり蹴飛ばされる。
「ぐほぁっ!!げほっ…何すんの!!」
「行くぞサトル。そんな奴と話す時間があるなら料理の勉強でもしろ」
「ちょ、わかった、わかったから!!」
「守屋君。そこに誰かいるの?」
さっきから立花君には僕が1人で喋っているように見えるため、不審に思ったのか聞いてくる。
「や、独り言!!;;」
「ふーん…ねぇ、今からうち来ない?」
「えっ!?あ、いや…」
ちらりとドグマの方を見る。
「サトル」
「は、はいぃぃ!!」
…見なきゃ良かった。
「ごめん立花君!また今度!!」