記憶のカケラ

□涙の地
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「……痛いなぁ」


体を巡回するはずの血液が、食い破られた肩の傷から吹き出す。

比例して冷たくなっていく体、指先はもう動かない。
「脱出できるよね。皆なら。」

フローリングを汚していく鮮やかな赤を見つめ、自分でもびっくりする程穏やかに笑う。

「気づいてくれるよね、皆」

俺が死んだことじゃなくて、鍵を持ってるって事。

遂に血溜まりが、敷かれたカーペットを汚していく。
「せっかく敷いてるのにもったいないな」

じんわりとカーペットが赤に染まる。

これで、終わる。
皆は脱出して、またいつもみたいに笑いあって馬鹿やって、アメリカが何か言ってイギリスがたしなめて、フランス兄ちゃんがイギリスと喧嘩して…

中国は相変わらず日本の作るものとか真似したりして、それを日本は怒って、でも最後にはため息で許すんだ。


……俺は、居ないけど。

報いならいくらでも受けるから、どうか笑っていたい。皆の隣で。

「……生きたい、よぉ…」

歪んだ視界と頬に伝った何かを最期に、俺は意識をなくした。

〜End〜

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