Novel-Short
□Maximum
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「沙緒は僕のこと好きなんですか?」
「……はい?」
振り返ったその先には、机に片肘ついてジーッと私を見上げるチャンミンさんが。
え、今この方何て言った?
質問の意味が理解できず首を傾げて黙っていたら、同じく無言で彼は席を立ち、ゆっくりとこちらに向かって来た。
違う、理解できなかったんじゃない。
理解できたからこそ、私は答えられなかったんだ。
二人の距離間が狭まるにつれ、今度は私が見上げる番になる。
そして完全に立ちはだかられた時、彼は私を見下ろしてもう一度訊いた。
「沙緒は僕のこと好きですよね?」
「え、…えっ?」
なんで疑問形じゃなく確認になってるんですか!?
思わず一歩また一歩と後ずさる。
それと同じ…いや、それ以上の歩幅でジリジリ迫ってくるのは勘弁して頂きたい。
今この部屋に誰か入って来てくれたら、彼からもこの質問からも逃げられるのに。
そんな願いも虚しく、助けの入る気配など全く無いまま、背中があっさり壁に辿り着いてしまった。
二人の距離間=この身長差のみ。
もう逃げられない。