Novel-Short
□波乱万丈恋愛上々
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だって彼が芸能人だなんて知らなかった。
騙された!って思った。
「お願い!今日の合コン付き合って!」
「ええー…やだ」
手を合わせて同僚に頼み込まれても、正直全く乗り気がしない。
だが彼女は食い下がる。
「急に人数足りなくなって困ってんのよ〜!いいじゃん沙緒ずっと彼氏いないんでしょ?人助けだと思って!」
「男性陣どんな人達?」
「えっと20代半ばのぉ…ふ、普通の人達」
なんだそりゃ。
「職種は?」
「ふ、普通よ普通!とにかく沙緒は会費もいらないしゴハン食べるだけでいいし!アンタ黙ってりゃ可愛いんだし…っていうか黙ってて」
何だか妙に慌てて目を逸らす彼女に怪しい…とは思ったものの、頭数だとここまでキッパリ断言されては、じゃあもうタダ飯目当てでいっかという気になって頷いた。
確かにここ三年は彼氏のいない一人身。
最後の彼氏というのがいわゆる業界人で。いつも話題が豊富な彼とデートしてると、そりゃあ楽しかった。そんな話上手な彼の恋人が私だけではないと知った時、ヒステリックに泣きながら責め立てた私に彼が放った一言。
『一般人のお前なんかに俺が本気で惚れると思ったのか?』
いやー自分の男の見る目の無さにビックリだね!
当時はまだ私も若かったしショックで食事もノドを通らず3kg痩せたものだけど、今となっては人生経験の一つ。
だから、次の恋愛は堅実路線がいい。