Novel

□ホワイトデー大作戦?
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3月14日。
いざ、決着の日―――。

……とはいうものの、各人の思惑は様々。





**********





「これは先月のお返しだ」

ポスンと机の上に置かれた包みを見てから横に立つ人物を見上げた。
贈答用のラッピングをされている訳でもない無愛想な包装と同じく、照れも何も無い無愛想な送り主。

「…ありがとソンジュン」

そりゃ義理なのは100%わかってるけど、そんな義務感丸出しの返し方されても。
苦笑しながら包みを手に取れば、ソンジュンが真面目な口調で言う。

「女性への贈り物など今まで選ぶ機会が無かったので、つまらない物ですまないが…」

「あはは、お返し目当てでバレンタインあげたんじゃないし何でも良いよ。開けていい?」

ソンジュンが頷いたのを確認してからテープをペリペリ剥がしていく。
正直な話、ソンジュンからお返しをもらえるとは思っていなかったので少々驚いてしまった。
ホワイトデーの存在すら知らないんじゃないか…なんて失礼なことを思っていたのは内緒にしておく。
最後のテープを剥がして中身を取り出してみると。

「……何コレ」

出てきたのは一冊の本。
どこからどう見ても

「見てわからないか?参考書だ」

ですよねー。

「いや、うん…それはわかるんだけど。ホワイトデーのお返しがコレですか?」

「僕も同じ物を使っているんだが非常に良い本だ。きっと君の役に立つと思う」

堅物ソンジュンなりのジョークだろうか。もしかして笑ってあげるべきだった?
しかし残念ながら自信に満ち溢れたその言葉には冗談の入る隙など一切無く、彼が本気でこれを選んだことを物語っている。
ただ、頭脳明晰な彼が誉めるくらいなのだから本当に良い参考書なんだろう。

「ありがとう。使わせてもらうね」

素直にお礼を言えば、ソンジュンの表情も柔らかくなる。

「君と行う放課後の勉強会はいつも有意義で貴重な一時だ。これからも時間が合えば付き合ってもらいたい」

その台詞の中に異性としての感情が皆無であることは明白である。
世間一般的に考えると、つまらない物というか…つまらない男なんだろう。
でも、彼と過ごす時間は自分にとっても居心地良いから嫌いじゃない。だから一緒にいるんだ。

「じゃあ早速今日の放課後また勉強会する?」

笑顔で誘ってみれば、彼らしくもなく急に目を泳がせるソンジュン。

「い…いや悪いが今日は遠慮しておく。その、先約が…」

歯切れの悪い彼の言葉に、今朝の光景を思い出す。
ユニに放課後一緒に帰ろうと言ったら、顔を赤くして同じく「先約が…」と断られたのだった。



……ハイハイ友達の優先順位なんて所詮そんなものですよね!





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