Double

□6.5:ある日の嵐一家その2
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……どうしよう。


「ない…」


無 い 。


やっぱり無い!!



家中どこを探しても見つからない。
…その前に、そもそも外した記憶が無い!

考えたくないけど、どこかで落とした…?

ちょ…ちょっと落ち着こう自分。
冷静に思い出して…いつまではあった??

撮影が終わって私服に着替えた時は確かにあった、うん。

じゃあ移動中?
お店?
もしくは……


わずかな期待を抱いて電話をかける。

「あ、もしもし翔くん?あのね、こないだウチまで送ってくれた後、車のシートか足元に何か落ちてなかった?……あ、そう……。いやちょっとね、落し物したみたいでもしかしたらって思ったから。…ううん、その前に落としたのかもしれないし。ごめんね、ありがと」

ピッ。

ガックリ肩を落としてしまう。
翔くんの車に無いとすれば、それまでに落とした可能性が高い。
次の可能性に懸けるべく再び携帯を持ち直した。

「…すみません、先日そちらで食事した者ですが。あの、落し物はありませんでした?メンズのシルバーネックレスなんですけど……あ、無いですか…わかりました、ありがとうございます」

ピッ。



こ ま っ た 。



スタジオから店への移動にはタクシーを使った。
でもタクシー会社を覚えてないという痛恨のミス!

せめて翌日に気付いてたら、同じルートを辿って探しに行くなりできたのに。
久々のオフで爆睡してゴロゴロして友達とお茶しに行って…なんて呑気に過ごしてる場合じゃなかった。

なんであんな大事な物を失くしたことに気付かなかったんだろう私の馬鹿!!

もう他に打つ手が見つからず、私はどんよりと沈んだ気分を引きずって仕事に行く準備を始めたのだった。


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