Double

□6:密かな協定
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5人全員での仕事が終わって、宿舎への帰路を走るバンの中。
空腹のあまりイヤフォンの音楽は頭に入って来なかったが、マネージャーの言葉はハッキリ耳に入って来た。

「ユノ、ジェジュン、お前達の言ってる店あそこだよ」

ん?

名前の出た二人に目を向ければ、バッグを手に降りる準備をしていた。
ジュンスも目をパチクリさせ年長組に問い掛ける。

「ヒョン達降りるの?なんで?」

「大人には大人の付き合いというものがあるんだよジュンス」

勿体ぶった言い方をするジェジュンが気になる。…違った、正直なところジェジュンはどうでもいい。
僕が気になったのはマネージャーが指差した店の方。

「弟達を置いて自分達だけ美味しい物を食べようという訳ですか。大人は汚いですねーユチョニヒョン」

「な。辛いこと苦しいことはいつも五人で分かち合ってきたのにな…」

「二人だけずるい!」

責めるような僕の視線と、寂しそうに目線を外すユチョンと、拗ねるジュンスの目。
そんな弟達に耐え切れなくなったのはやはりこの人だった。

「…あぁあごめん俺が悪かった!わかった皆で行こう!!いいよなジェジュン?」

なんてちょろいんだユノ。
我らがリーダーながら、そのお人好しぶりは時々心配になってしまうレベルである。

許可を求められたジェジュンは、僕が食いついた時点である程度の予想はしていたのだろう。
盛大に溜め息を吐いてから諦めたようにユノの肩に手を置いた。

「はぁ…。お前が誘ったんだからコイツらの分はユノ持ちね」





和の装飾でシックにまとめられたこの店は完全個室制らしい。
かと思えばメニューは多国籍風で、カジュアル要素も有りのちょっとした高級居酒屋という雰囲気だった。
何を注文するか早速メニューを囲んでワイワイ盛り上がる下三人を尻目に、先程からチラチラ携帯を気にしているジェジュンが視界の端に映る。

「迷ってるかもしれないからジェジュン電話してきたら?」

「いや店はわかるって言ってた。メールしたしもうすぐ来ると思う」

年長二人の会話で、さっき店に入る際に浮かんだ疑問の答えを見つけた。


『すいません人が増えたんですがだいじょぶですか?』

『三名でご予約のお客様ですね。かしこまりました、それでは大きいお部屋にご案内致します』


あの時店員は三名と言った。聞き違いかとも思ったが、やはりそうではなかったようだ。
当初の予定ではユノとジェジュンともう一人。
……今から一体誰が現れるんだ?


「失礼致します。お連れ様がいらっしゃいました」

店員の声がして、全員の視線が部屋の入り口に固定される。

「遅くなってすみませ…」

そして入って来た人物も、座っている僕達を見渡して固まった。


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