Double

□2:最強の出会い
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「遅くなりました」

「おかえりー」

パイプ椅子に座って音楽を聴いていたユチョンが顔だけこちらに向けた。
その隣ではゲームに熱中しているジュンス。
そしてユノはと云えば部屋の隅っこで筋トレ中。
これから日本で一番(?)有名な歌番組しかも生放送に記念すべき初出演する直前だというのに、緊張感のかけらもない人達だ。
そう口に出せば、お前が言うなとジェジュンにツッコまれた。

「まったく…初めての場所で一人で出歩くなよチャンミナー。腹減ったならマネージャーに言えばいいだろ?」

「コンビニの冷たい物は嫌でしたから」

あっさり理由を言ったらガックーと大げさに肩を落とすジェジュンは、いつまでも僕を子供扱いしている気がしてならない。というより確実にしている。
そんな所が東方神起のオンマたる所以なのだが、いい加減に過保護すぎる。
…まぁ僕自身まさか帰り道に迷うとは思わなかったので、今回ばかりはヒョンのお説教も強くは撥ね付けられないのが痛い所。

「――たまたまあの人が通りかかったから良かったものの」

「え、なになにチャンミン迷子になったの?」

まだ続いていたお小言を右耳から左耳にスルーしてたら、ジュンスが嫌な部分に反応した。今の今までゲーム画面しか目に入ってなかったくせに。
そこは再びスルーして、ジェジュンの言葉に反論する。

「別に誰もいなくても自分で解決してましたよ。本当に偶然あそこにいたのがあの人だっただけの話です」

言っていて彼女の爆弾発言まで思い出し、せっかく収まっていた怒りが再燃してしまった。
からかう隙を伺っていたに違いないジュンスが敏感に僕の周りに漂う黒い空気を感じ取ったらしく、ニヤニヤ笑いをたちまち消してヒッと怯え始めた。

「チャンミン恐い!…何か怒ってる?」

「……台湾の人かって言われました。スタッフなら出演者のプロフィールくらい事前に調べとくでしょう普通。ああ思い出しても腹立つあの女!」

「あはは!そっかーやっぱり日本じゃ俺達まだまだだなー。もっと頑張らなきゃなー」

それで筋トレもっと頑張ってどこ目指してるんですかユノヒョン。

「女なの?可愛かった?」

音楽聴いてたんじゃなかったんですかユチョニヒョン。

「んーなんかずっと下向いてたから顔はよく見れなかった。知的な感じ?」

それ単に眼鏡かけてたからでしょうジェジュギヒョン。

「まだその辺いるかも」なんてジェジュンとユチョンだけでなく、何故かジュンスとユノまでくっ付いてトーテムポールよろしくドアから廊下を覗く。

…物好きなヒョン達だ。
少なくとも僕のタイプではなかったし、空気の読めない人間などウチのリーダーだけで充分すぎる。
我関せずを決めこんでドカッと椅子に腰を下ろし、もう一度進行表に目を通した。ランスルーまであと一時間ちょっと。
ヒョン達お目当ての人物は、結局見つけられなかったらしい。
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