頭文字D 短編集

□告白しに来た
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「遅い」
「開口一番それですか、仕事上がりで疲れてる友人に対して労いの言葉は!?」
「んなもんねーよ」
「絞り出せコラ」

右ストレートを決めてやろうと拳を握れば困った笑みを向けられた
年の割には随分大人びた顔で笑うんだな、当初はそんな事を思ったりもして勝手に心臓がキュンとかしてたけど、騙されない、これはコイツの手なんだ、どうせ腹の中で「チョロいぜ」とか言って笑ってるに決まってるんだから!

「末恐ろしいな22歳」
「俺はお前の思考回路の方が怖ぇよ」
「で?今日は何の用?珍しく会いに来たんだからそれなりの理由があるんでしょう?」

鞄から煙草を取り出し火を点け話を促すが、一向に話す気配がない
その内眉間に皺を寄せ始めたものだから、余程深刻な悩みでもあるのだろうと内心爆笑してやった

「単細胞でも人並みに悩みとかあるんだ!」
「泣かす」
「ごめんなさい」
「お前が素直に謝ると異常に寒気が走るのは何でだ」
「どういう意味だ」

ホント何しに来たんだこのボンボンは!

仕事上がりで疲れた(ここ重要)体に軽いジョブでも浴びせに来たのかそうなのか!

「さあ、さっさと自分の巣にお帰り」
「お前…」
「だって啓介がキモい、間違えた、なかなかお悩み相談してこないから」
「故意なのか?」
「はあ?誰に恋してんだよ、お前の恋人はFDだろうがーこの浮気者ー」

視線だけでこれだけ意思を伝えられる人間もそうそういないだろう、捨てられたポケットティッシュ(開封済み)を見るような目で見られた、え?例えが分からん?とにかく物凄く可哀想なものを見るかのような目で私を見ている

「やめて、凄く居たたまれなくなるのでやめて下さい私はポケットティッシュじゃないよ!」
「頼むから戻ってこい」
「戻ってくるのはお前だよ!ポケットティッシュが可哀想ってお前…!」
「ああもう!お前と話してると頭が痛くなる!」
「え?これって新手のイジメか何か?」
「俺でストレス発散するのやめろよマジで!」
「じいしきかじょーワールドワイドウェブ」
「………」
「で?悩みって何よ」

そろそろ本気で怒られるビジョンが鮮明に見えたので本題に戻れば盛大に溜め息をつかれた、溜め息?こっちがつきたい

「何でお前そんななんだ」
「え?私の存在全否定?喧嘩なら逃げるよ?」
「………やっぱりいい、また今度話すわ」
「えええええ!何その展開聞いてない!気になるじゃんか!」
「だったらもう少し大人しくだな…」
「え……無理…」
「………」

え、ちょ、トランクなんか開けて何探してんの?え?バールなんか何に使うのっていうか何で持ってんの今走り屋の間で流行ってんの?

「ストーップ!ストップストップストーップ!昔の血騒ぎすぎだよ啓介くん!落ち着いて!ビークールビークール!そんな物騒な物振り回すだけ体力の…!」



ぐはあ!




痛い……でも気持ちいい…お前もう死ねばいいのに


(110904)

頭文字Dとか今の乙女達は知らないんだろうな






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