幻想録
□序章
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―魔都、京都。
平安の時代より千年以上にわたり、皇居が置かれ、日本の都であったが故に、此の地では、多くの争いが起こり、数多の人命が失われてきた。
―抗争、死、悲しみ、憎しみ―
これらは妖を引きつける。
集まった妖は人の心の闇につけこめみ、新たな争いを生む。
これが千年以上にわたり繰り返されてきたことが、此の地が魔都と呼ばれるようになった所以である。
徳川の世が始まって約250年―
戸に政治の中枢が置かれるようになって以来、京都では、人々の心は安定し、妖たちも全国へ散っており、平安以来、もっとも長く、平和な時代が続いていた。
その均衡が崩れたのは幕末―
西国の志士たちが京都に集い、京のまちは不穏な空気につつまれ、その匂いを嗅ぎつけた妖たちも再び、京の都に集結しようとしていた。
この物語は、そんな幕末の京都での話である―