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□それは一人の吸血鬼の話
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ある町の村のその奥の森に

古い屋敷がある

そこに恐ろしいくらいに妖艶な
吸血鬼がいると言う伝説があるらしい


だけど

その吸血鬼は
ほとんどは人間達にやられてしまった

人間達は俺達のことを恐れて
存在を消そうと考えた

俺達は人間達に被害を出してないのに、

勝手な妄想で‥
吸血鬼は次々と殺された

俺を除いて‥‥


大きなこの屋敷に一人暮らし

吸血鬼の源の血は、動物達から頂く

昔は吸血鬼同士から血を貰うこともしていたけど、人間の血は一切口を付けていない。

“人間達は怖いから”


俺がたまたま庭に散歩に出かけたとき

黒い瞳の少年が現れて話しかけて来た

「やぁ、何をしてるの?」

「‥(人間‥ッ!)」

突然のことだったので足の力が一気に抜け
腰を抜かした

「‥‥何転んでるの?」

言葉とは正反対に心配そうに覗かせる
黒い瞳に胸がドキッと高鳴る

顔を赤らめながらコクコクと頷いた

人と話す事はもう何年もしたことがない
気づけば言葉の言い方さえ忘れてた

声を出すことが全く分からない


黒い少年はそんな俺の姿を不思議そうに
見て優しく話してくれた

「喋れないの‥?
君、こんな森の中‥何処に住んでるの?
町からかなり離れてるよね‥」

喉から声を出そうとしても
やっぱり息しか出て来ない

完全に話し方を忘れた俺は、
近くにある木の棒で文字を書いた

声は出なくても文字が書けたことが
救いだった

「<すみません、話し方を忘れました
俺はこの森の中で一人で住んでいます>」

「‥‥へぇ‥、
ここに住んでいるんだ?
悪くないね、暗くもなく‥明るくもなく
‥僕の名前は雲雀恭弥、ねぇ、君名前は?」

「<沢田綱吉です>」

「沢田綱吉、覚えておくよ」

彼が俺に差し延べてくれた手を

嫌だと思わなかった。

何故かは分からなかったけど、
この人なら大丈夫と思ったから‥

貴方の手を握った。


これが貴方との始まりだった
貴方に会ったあの日、
俺の人生が色づき始めた。

 
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