◆暁ドラマ◆

□IF<第二章:捕われたのは・・・>
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「これでよし。お前が逃走したと判断したらすぐに両足を吹き飛ばすからそのつもりでいろ」
角都は飛段の足に術をかけ終わると冷たい声で告げた。
当然、飛段は不満げに膨れっ面をして、
「だから逃げねえって言ってんだろ!少しは俺を信用しろよ、角都!」
と抗議したが、角都は聞く耳持たぬと言わんばかりに背を向けると足早に歩き出し、飛段も後を追うようについていった。

林を抜けながら、角都は少し後ろからついてくる飛段に、今後の動きについて説明し始めた。
「今から隣の国に入る。その国を境に一気に治安が悪くなるがそれだけ獲物も多い。お前にビンゴブックを渡しておく。頑張って稼ぐ事だな。それと・・・」
そこまで言って、角都はくるりと飛段の方に向き直った。
「な、何だよ?」
身構える飛段に角都は呆れたような眼で言葉を続けた。
「どうやらお前の武器は呪いとやらに使う棒切れ2本だけのようだが、それではこの先やっていけんぞ。街に入ったら武器屋で適当な物を調達しておけ」
放り投げられたビンゴブックと巾着袋を慌てたように受け取り、飛段は笑顔で答えた。
「武器買ってくれんのか!金無くて困ってたから助かったぜ!サンキュー、角都!」
「釣りは返せよ」
「分かってるって!さぁ〜沢山狩りまくってジャシン様に贄を捧げまくるぞ〜!あ、後〜角都に金を献上するぞ〜!」
飛段の大声が辺りに響き渡り、角都はこんなによく吠える馬鹿としばらく一緒にいなくてはならないとは先が思いやられる、と深い溜め息をついたのだった。



街の大通りには様々な店が途切れる事無く立ち並び、人の往来も激しくとてもにぎやかだ。角都は街一番の大きさを誇る武器屋に飛段を連れていき、自身は別の店に行ってくるからここから動くなと言い残して去って行った。

1人店に残された飛段は所狭しと並べられた武器を見渡した。
様々な形の刀に金棒、ナタに鎌とよりみどりだったが心惹かれる物がなく、角都に適当な物を見繕って貰えばいいや、と飛段は軽く溜め息をついて店の外に出ると入り口の横に立って渡されたビンゴブックをパラパラと眺めた。
膨大なページ数に気が遠くなりそうになる。
“こんなの覚えてられねえよ・・・角都の奴どうやって見つけるんだ?”
飛段は大きな溜め息と共に本を閉じ、顔をあげて目の前の人波にぼんやり眼を向けると向かいの店の前に立つ1人の男が視界に入った。
人相の悪さからして、余り全うな奴には見えない。
アイツ、これに載ってたりしねえかな〜、なんて楽観的な事を考えながらパラパラとビンゴブックをめくる。すると、よく似た顔が現れたではないか。飛段は我が眼を疑い何度も見比べた。
間違いない。ビンゴブックの情報によれば、一盗賊の頭領で名はアグレス。1500万両の賞金がかかっている。
額も手頃で周りに仲間がいるようにも見えない。
飛段は辺りを見渡し、角都の姿がまだ見えない事を確認すると、男の前に歩み寄った。
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