短編

□第一次食い物大戦
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そして拐われた方はというと……。

「……で?」

「何でお好み焼き屋さん?」

「おごったるさかい!」

「どうぞ。」

目の前には今頼んだためまだ焼いてないお好み焼き。

鉄板は既に熱くなっている。

怪しい。そう小金井が思うのも無理は無いだろう。

「ありがとう。」

「……え!?」

しかし平然と焼き出す氷雨。

しかも嬉しそうに。

「小金井君もいる?」

「え、うん……。」

つい、頷いてしまう。

そうして少し薄めに焼いたお好み焼きが二つ。

次に何やら紙で袋を作る。

そして焼けたのを見て半分に折り、袋に入れてそのままかぶりついた。

「いや、もっとちゃうやろ!!!」

「え、食べて帰るから……。はい、小金井君の。」

「あ、ありがとう。」

「待って下さい!小金井はどう切り分けますか?」

「え?二つ。」

「じゃあ自分と半分こにせえへん?」

「もらったからもういらないよ?」

沈黙が流れる。


「ここだったのか。」

タイミング良く水鏡が現れた。

「あ、早かったね。これ水鏡の分。」

「いくらだ。」

「雷覇とジョーカーのおごりだって!」

「そうか…………帰るぞ。」

そう言って三人で帰路につく。

残った二人、雷覇とジョーカーは

「…………とりあえず、引き分けやな。」

「そうですね……。」


そう言い合う。

氷雨が店内で一番高いお好み焼きを選んだのに気付くまで、あと10秒。



Fin.
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