小説

□哀しき愛の唄
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1:人魚姫

あの日

あの瞬間

世界は終わったと思っていた

生まれて初めて愛した気高いあの人が

静かに海と同化したのだ

何故信じなかった?

何故抱きしめなかった?

声だけが会話の手立てではなかったはずなのに…

愛しい愛しいあの人は静かに海と同化した

私の死よりも自らの死を望んだ愛しいあの人

今はもう逢えない

泡になって消えたから
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