文
□吾郎が風邪をひいちゃった。
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コチコチと時計の動く音しか聞こえない。身を捩って見れば、桃子が出掛けてからものの数分しか経ってなかった。
あ゙ー…暇…
窓から見える四角い空は、まさに「晴天」と呼ぶに相応しい青空だった。
キャッチボールしてぇ…
真吾もお昼寝タイムだし…
ベッドの中に籠もりっきりじゃ体が鈍っちまう…
吾郎は体を動かす事ばかり考えながら、暇を潰す為に睡眠をとろうと思い、目を閉じた。
その時。
ピンポーン…
玄関のチャイムが鳴り響いた。
…誰だ?母さん出掛けてんのに…真吾は…寝てるんだったな…まぁ、放っておけばそのうち帰んだろ…
暫く吾郎がベッドの中で聞き耳を立てていると…
ガチャリ…
不意に玄関のドアが開けられた。
えぇ!?何で入って来んだよ!…まさか…泥棒…!?
そんな事を考えているうちに、家に侵入した足音は吾郎のいる部屋へと向かって来た。