□続・ベタ。
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※ベタ。の続編。

いつも通りに始まるはずの俺の一日は、なぜか突然生えてきた猫耳尻尾と、なぜか突然起きた性転換と、なぜか突然退化してしまった身体のせいで一変しちまった。

しかもそのせいで同室の佐藤寿也という名の、羊の皮を被った狼(かわいこぶりっこで超ド級Sの変態エロ魔神)に朝っぱらから犯され…いやむしろ殺されそうになった。

SEXしようとか子供を作ろうとかほざきながら変態剥き出しで迫って来たから、でっかい声で叫んで「訴えんぞ!」って言ってやったら「嫌だなぁ吾郎くん冗談だよ、冗談!こんなにちっちゃい君に僕がそんなこと強要するわけないでしょウフフフ☆」って上げた両手をヒラヒラさせて降参のポーズ。
テメェさっきはあれだけマジな顔で迫って来たクセによくもまぁヌケヌケと…
とか思ったけど、後が怖いから「分かったなら許す」とだけ言ってやった。





寿也に殺されなくて済んだからそれは良しとして、本題に入ろうか。

「で、吾郎くん、野球はどうするの?」

ひとまず落ち着いた俺達は、向かい合わせに置かれた自室のソファーに各々座り、今後の事…「これからの練習及び試合はどうするか」っていう事について話し合うことにした。
ちなみに俺は、今の身体のサイズに合う服は一着も無いため(当然パンツもでかくて履いてもすぐ脱げる)、Tシャツのみ着用している。寿也が「Tシャツから覗く生足が犯罪的」とか抜かしたが、無視だ。

「どうする・ったって…まずはこの身体をどうにかしなきゃ練習もクソもねーよ。」
「だよねー」

俺の身体に起きた異変は本当に突然起きたものなので、いつ元に戻るのかも分からない。
俺は隙あらば尻尾をにぎにぎしようと手を伸ばす寿也に蹴りをかましながら思案した。

「一、ベタに次の日になったら自然に元通り
ニ、メルヘンチックに王子様のキス的なモノで元通り
三、実は最近流行り出した病気で薬を処方してもらえば治る
っつーのが俺的な『元に戻る方法』なんだけど…」

黒い尻尾をゆらゆらと振りながら言い、寿也を見る。
そうだね…と相づちを打ち、寿也は
「吾郎くん、
四、死ぬまで(或いは死んでも)戻らない
って場合もあるよ」
意地悪気な顔で起爆剤を投下した。

「お前…絶望的なこと言うなよ!つーか戻るね、絶対に戻る!」
「冗談だよ、冗談!ちょっと意地悪したくなっちゃっただけだから☆」

またもや上げた両手をヒラヒラさせて降参のポーズをとる寿也に、吾郎は飛び掛からん勢いで口論し出した。

「さっきからお前の冗談質悪すぎるぞ!本当に戻らなかったらどうしてくれん…」
ぐきゅぅぅぅぅ

「あっ」
「……吾郎くん?」
「……」
「……」
「……あは。」
「…とりあえず、朝ごはん食べに行こうか。」
「………あぁ」

ヒートアップするかと思われた二人のやり取りは、盛大かつ雄弁なる吾郎の腹の虫により中断された。
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