story
□アッチの世界
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無事に入学式を終えて、各自教室に入る
いやー 天之橋理事長は老けたね
まぁ、葉月君が卒業してから8年だもんね
そういえば、昔の女子生徒の制服ってセーラー服だったよね
8年という歳月は、制服をも変えるのだなー
ポワンとしながら、教室に向かう
結局、ルカくんとコウちゃんとはクラスが別になってしまった
「残念」
「そんなに落ち込む事でもねーだろ?ほら、選択の授業あったろ?同じにすりゃーよ」
コウちゃんなりに励ましてくれてるのだ
なんか、くすぐったくて嬉しい気持ちになって自然と笑顔になる
「そうだね!そうしよ」
「おう、じゃあよ」
コウちゃんの目が更に細くなって笑って自分の教室に入ってった
ふふふっ コウちゃんの笑う顔が好き
フニャッって目が無くなって可愛くなる
可愛いいなんて言ったら怒られそうだけど(笑)
なんて考えてたら
ドンッ
本日二回目の体当たり
「アイタタ… 」
ぶつかってしまった相手は、ちょうどあたしの頭が当たってしまった肩の辺りを擦っている
「ごめんなさい。あたし余所見してて、大丈夫?」
相手の顔を覗き込んだ
「だいじょ…ハッ…ヤバイかもぉ」
彼女の目がハート型に変わっていく気がした
そう、ぶつかってしまった相手はカレン
思いのほか、カレンはあたしに一目惚れしたっぽい
「こっちこそ、ゴメン!あたし、花椿カレン」
「あたし、柚木美斗」
カレンのハートの目が、あたしを視姦する
「あのさ、中学にはいなかったよね?」
「うん。この前、引っ越してきたばっかりで…」
カレンは、あたしの手をニギニギしながら
「そっかそっかぁ」
と頷き
「っていうかさぁ」と続けた
「ねぇ、アンタの事、バンビって呼んでいい?」
ウルウルした目で見つめてくる
カレンってでも、ゲームではわからなかったけどモデル体型で、とっても美人
そのまま宝塚
「え、イヤ」
断ったらどーなるんだろって思ってたのよね
バンビって、学校の中だけならまだしも、街中で呼ばれるとハズカシイと思うんだよね
「えー ダメ?どうしても?」
カレンは、オモチャを買って貰えない子供のようにおねだりするように、あたしを見る
「見れば見るほど可愛い!やっぱバンビだもん。いーよね?じゃね!チャオー」
強制?
いーけど、別に。
ヤダって言ってみたかっただけだし…