story

□アッチの世界
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「ついに出来たぞ!おい、美斗聞いておるかー?」

寝惚けたまま携帯をとった美斗の耳に興奮した年寄りの声

「んー?ゴハンはまだいい」

「メシじゃのうて!ホレ、アレだ。二次元に行けるってやつ」

「ん?…二次元…に?……………………うそ!」

ガバッと起きた美斗は、まだ通話中のままの携帯を持ったまま飛びだした
赤いママチャリで、すっ飛ばす24歳

さっきの電話の相手は、腐れ縁の発明家
血は繋がってないが、妙に気が合うじいさんで美斗は、小さい頃からじいさんのアトリエに通って日が暮れるまで遊んだ

ひょんな事から、異次元に行ける装置は作れないものか?とそんな話がでてからかれこれ50年(じーさんの記憶だから曖昧だが)
ついに、その研究の成果が今日出来たというわけだ

美斗はドキドキしていた

行けるものなら行ってみたい!
こっちの世界に帰ってこれるか分からないけど…あ、親に別れの挨拶してこなかったな


ガチャン。
チャリを止める音が辺りに響く
まだ、夜中の2時。鬱蒼と茂る草木が風に揺れて半月より欠けた月がアトリエの屋根を照らす

「じーさん?」

恐る恐る中に入る
するとデカイモニターの前に座り白髪頭をボリボリ掻きながらじーさんは振り返った

「来たか。
…それにしても、その格好は色気がないのぅ」

慌てて出てきたもんだから、パジャマ代わりにしているヨレヨレのジャージに首周りが伸びきったTシャツ

「まったく。美斗の事じゃ、設定装置も作っておいで正解じゃ。」

「設定装置?なに?」

「お前は、今の自分に満足しておるか?」

あたしは、その問いかけに勢いよく頭を降る
そう、小さい頃からコンプレックスの塊だった
ブスだしスタイルだって悪い
痩せようとダイエットを試みても続かずリバウンドの繰り返し
自分に甘いのだ

「人は見た目じゃないのにのぅ。美斗は、気持ちの優しいイイコだで」

「ふふ、ありがと。でも、どうせなら滅茶苦茶可愛くなってみたい!」
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