犬僕

□仕方無いじゃん。
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それは、ボクが渡狸を学校まで迎えに来たときの事。



「あ、わたぬ…き?」



渡狸は、可愛い女の子と並んで歩いていた。



「…で、………なんだよ。でさー……」



まだ距離があるから上手く聞こえないし、渡狸もボクには気付いていない。



すごく、イライラする。



その女の子と何話してるの?ボクより渡狸はその子が大事?やっぱり男同士なんて嫌だった?



疑問が次々と溢れてくる。



「あ!残夏ー!!」



そう言ってボクに気付いた渡狸が手をふってくる。



渡狸はわかってないよね、



レンレンも、



そーたんも、



蜻たんも、



その平等な優しさに惚れてるんだよ?



わかってるの?



…まぁ、そーたんは本命蜻たんらしいけど。



それでみんなわかりやすいアプローチしてるのに



渡狸は気付いてないんだよね?



「…げ、ざんげ、残夏?」



「…あ」



気付けば、目の前で渡狸がボクを心配そうに見上げていた。



なんでかわからないけど、なぜかもやもやするものが心に出来た。



他の奴になんてあげない。渡狸は、ボクのものだ…



「…んぅ!?ざ…ん…っ」



いつの間にか、渡狸にキスしていた。



「…っふ、ざ、んげ…っ」



ボクが舌をいれようとすると、渡狸はもう限界なのかボクの服をぎゅうぅと握ってきた。



「…っは、はぁ、っ…はぁっ…ざん、げ…?」



赤らめた顔をこちらに向ける渡狸。



「嫉妬しちゃうんだから、仕方ないでしょ…」



「え?」



そう独り言をつぶやき、



渡狸の小さな体を抱き寄せた。











((ところであの子、誰?))
((え?一緒にここまできたやつか?あいつは…ただ、俺と残夏がどこまで進んでるのか、とか聞いてくるだけ…だけど))
((あ、そう…))




end

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