□貴方は僕を見はしない
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拾ってもらった…僕の僅かに繋がっている命を、救ってもらった。





『羅生門』を制御する方法も、生きる意味も与えて貰った。





辛く厳しかった、あの方の訓練も、あの方が居たから耐えられた。





全ては、貴方の為に。





そう思っていたのに。あの方は、あっさりと僕を棄てて行ってしまった。





まるで、飼うのに飽きた愛玩動物を捨てるかのように。






『今だから云うけど…君の教育には難儀したよ。呑み込みは悪いし独断先行ばかりするし』






『おまけにあのぽんこつな能力!』





『私の新しい部下は君なんかよりよっぽど優秀だよ』





知っていた。あの方が僕をなんとも思っていないことを。あの方の眼中には他の人物が写っていることを。僕のことは遊び、気紛れに過ぎないのだと。




悔しかった。あの方にあそこまで言わせられる人虎が。




そして…中原が。




あの方はいつも中原を見ていた。無論、中原も。




それでも、僕が強くなって、人虎を殺せるくらいになればきっと




気紛れでも又、僕を見てくれる。





なんて、下らない妄想を何度重ねても、どうやったところで、あの方が、





貴方が僕を見てくれることは、ないのだろう。

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