□たまには
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朝。自然と目が覚める。
隣にいる彼はまだ熟睡中だった。

「(…私に抱きついて寝るのはやめて下さいといつも言ってるのに…)」

何度そう言っても聞く耳を持たないので、もう半分諦めているが。

ともかく抱きつかれたままでは起き上がれないので、先に彼…音也を起こすことにした。

「音也…音也、起きてください」

いくらオフだからと言え、ずっと怠けていては仕事にも響きますよ、と言っても音也は夢うつつのままだった。むしろ抱きしめる力が心なしか強まってる気がする…。

「…う、うぅ…」
「音也?」
「……トキ、ヤ…すき…だよー…」
「……!?」

わかっている。音也の寝言だ。そうわかっていても顔が熱くなっていくのは止められなかった。

「…私も、好きですよ、音也」

でもすぐ起きてくれない音也は嫌いです。そう付け加えると瞬間音也が目を開けた。

「おっ、起きたよトキヤ!!嫌いにならないよねっ!ねっ!?」

嫌いと言う言葉に慌てて飛び起きた音也。もしかして好きだと言ったのも聞かれていたんじゃないかと思うとそれどころではなかった。

「…あの、音也、嫌いの他に何か聞きましたか…?」
「へっ?聞いてないよ?」
「…よかった」
「え、まさかもっとひどいこと言ってたの?好きって言ってくれてたのに…?」

…!!!!

「きっ、聞いてたんじゃないですか!!なんで嘘つくんです!?」

聞かれていたという恥ずかしさで思わず飛び起きた。ああ、穴があったなら入りたい…!!

「えっ、え、「嫌い」関連のことだと思ってたんだよ!!ごめんって!」

顔が真っ赤であろう私につられてか音也まで顔を赤くしていた。なぜか二人とも自然と正座していた。

そして、何も言えなくなってうつむいた私を、音也は心配そうに覗きこんできた。

「…見ないでください…」
「えー、なんで?顔真っ赤なトキヤ、かーわいいっ!もっと見せてよ」
「嫌に決まってるでしょう…!!」

そう言ってうつむいたままでいると、音也がまた私の顔を覗きこみ、両手で私の頬を包んだ。そして、

「……っん…」

そのままキスをした。

本人に直接言ったことは無いけれど、音也とのキスは好きだ。
ただ唇をくっつけるだけでも音也の愛を感じることができるから…なんて言うのはとてつもなく恥ずかしいから音也にはこのことは秘密にしている。

そっと唇が離され、自然と視線が交わる。

「…ごめんねってのと、おはようのキス。これじゃ駄目?」
にっこりと笑ってそう言う音也。それに私は、


「…駄目じゃ、ありませんよ」

と答えた。すると、音也の表情がさらに明るくなり、私に思い切り抱きついてきた。

体重を支えきれなくなり、私が押し倒されたような体勢になってしまったが、音也が嬉しそうにしていたのでどうでもよくなってしまった。







結局、私は音也にはどうしようもなく甘いんでしょう。

不思議と控えようとは思いませんけれど。


音也に抱きつかれながら、今日は音也と何をしようか、どこかにでかけようか。そんなことを幸せに浸りつつ考えていた。








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グダグダ\(^p^)/

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