他
□絶対に、
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ドカッ!!!
壁に叩きつけた拳が何故だかさっきより痛い。…ああ、血ぃでてんのか。まぁいいや、結局は俺の体じゃねぇんだ。気にすることなんてない。
“やめなよ、覚醒!痛いでしょ!?”
「うるせぇ!!俺に指図すんな!!」
“でも…”
うるさいうるさいうるさいっ!!
今度は鏡に拳を打ち付ける。と、もともとボロかったせいかすぐ割れた。
“やめなってば、覚醒!!”
「お前には傷しか残んねぇんだからいいだろ!!それとも何かよ、部屋の心配でもしてんのか!?」
体中が、痛い。割れた鏡の破片でも刺さったのかもしれない。
“違うよ、僕はただ覚醒が心配で…!”
心配?
「ハッ…笑わせんなよ。そんな上っ面だけの心配なんていらねぇんだよ!!」
“そんな!上っ面だけ、なんかじゃないよ…!”
黙れ!!!
ガシャァァンッ!!!
近くにあった箱を蹴ると、何かが割れる音とともに、何やらワインのようなものが流れてきた。
“あ…っ!!”
「なんだ?あいつと飲むつもりだったのかぁ?」
“ちが、これ、は、覚醒と一緒に飲もうと…”
は?
“もうすぐ、で、覚醒と初めて会話出来た日でしょ?だから、その日を覚醒の誕生日にしてあげようと、思って…。”
馬鹿か、こいつ。どんだけお人好しなんだよ。
「…この、お人好し、が…っ」
気が抜け、ぐちゃぐちゃになった部屋に倒れこむ。
あ、ワインの染みできるかもな、…まあいいや。
今までは感覚が麻痺していたんだろうかと思うほど、急に痛みが俺を襲った。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
“覚醒…!?”
痛みはシンクロしていないから。お前には俺にどんな痛みが来たかわかんねぇんだな。
それで、いい。
ただ、お前が…
「俺のことも、気にしてくれていた、からな…」
今思い返すと、お前、結構俺を気にかけてくれていたじゃねぇか。
「…んで…づけなかったんだ…」
“覚醒…!?”
ごめんな、今日だけは「俺」に死なせてくれ。
この体は、お前のものだけど、
今日だけ、借りるから、な…。
俺が死ぬ直前、見えたものは
ワインの入っていた箱に書いてあった、
「これからもよろしくね」
なんていう、笑えるような、言葉だった。
end
この時、痛みはシンクロしてなくても軍人くんも死にます。矛盾してるような気がしますけど。←
ここまではっきりしたバッドエンドは初めてでしたが、こういうバッドエンドは難しいですね(•_•`)
そして、書いててちょっと切なかったです…←