陽炎
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「シンタロー君は、好きな人とかいる?」
キドとキサラギちゃんは買い物、セトとマリーは遊園地に出かけていて、今アジトにはシンタロー君と僕しかいなかった。
男二人、話す話題を探したらやはりここに辿りつくのが妥当なんだろう。
「あ?…なんで急に」
「え?なんとなく?」
「「………………」」
「………いるよ」
「へっ?いるの!?本当に!?誰!誰誰誰!?」
気になる気になる!と興奮してソファに座っているシンタロー君に詰めよる。
「…う、うっせー…誰でもいいだろーが」
「お願いお願い!誰にも言わないからさあ」
この通り、と両手を顔の前に合わせた。すると、
「…仕方ねーな…わかったよ、…でも口で言うの恥ずかしいからメールで言うからな」
「やったぁ!早く早くー♪」
ぴろん、とメールが来たことを知らせる音が僕の携帯から鳴り、シンタロー君からのメールを開く。すると、
『お前』
と一言だけのメールだった。
「…え?お前、って、え、僕?え?」
「落ち着けって…そーだよ、お前だよ、カノ…いや、修哉」
「っぅえ!?な、ななななに急に名前っ、ええ!?」
「だから落ち着けってば」
さっきのニヤニヤした顔から一変して真っ赤でまるで茹でダコのような顔になったカノを見て、俺…シンタローはほくそ笑んだ。
まぁここまで想像通り行くとは思わなかったけれども。
「カノ」
「う、うん…?何?」
落ち着きを取り戻したらさっきの混乱っぷりが恥ずかしくなったのか、少しうつむいているカノの顔を両手で包みこみ、口にキスをしてやる。
するとまたボンッと真っ赤になったカノに、俺は笑みがこぼれた。
(あ、そういえば返事聞いてないんだけど)
(…察して)
(現ニートの俺に空気は読めませんが何か?)
(いばれることじゃないよそれ。…っ…すき、だよシンタロー君…)
((…可愛い))