黒バス
□はじめてのちゅー
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帝光中の昼休み、裏庭。
「緑間っちー!待ったっスか?」
「私も今来たとこなのだよ」
「よかったっス!さ、ご飯食べましょー!」
そういってベンチに座る黄瀬の隣に私も座る。
「うん、…いただきますなのだよ」
「いただきますっス!」
私は、緑間真子。
隣でご飯を食べている、黄瀬涼佳(すずか)の…こ、恋人。…なのだよ
「緑間っち?食べないならもらっちゃうっスよー?」
そう言って卵焼きを私の弁当箱から取る黄瀬。
「んー、緑間っちの卵焼きはいつも美味しいっスねー!」
「それはよかったのだよ。」
時々会話を交えつつ、お弁当を食べ終わった時には、少し風が強くなっていた。
「風強くなってきたっスね、緑間っちのパンツ男子に見せたくないんで早く校舎入りましょ?」
「動機が意味不明なのだよ…。」
「いいから!…あ、緑間っち」
「なんなのだよ…?」
黄瀬は裏庭にいた一組のカップルを一瞥して、言った。
「…そろそろ、ちゅーしたいなーなんて…」
「!!」
かあああっと、顔に熱が集まっていくのがわかる。実際、今私の顔は真っ赤だろう…。
「…だめっスか?」
じぃっと見つめてくる黄瀬。
「う…、……わかった、のだよ…///」
うつむきがちにそう言うと、黄瀬はそっと私を抱きしめた。
「へへ、ありがとっス、真子。」
「んな、名前…!?///」
「ふふ、目ぇ、瞑ってくださいっス」
「ん、…わかったのだよ」
身長的には私の方が数センチ高いので、うつむいてもあっさり顔を見られてしまうのが嫌だったけど…
今は羞恥うんぬんの前に心臓がどくんどくん言ってるのが手を伸ばせば届く近さにいる黄瀬に聞こえないかが心配だったりする。
黄瀬の吐息が、黄瀬はすぐそばにいることを物語っている。
そっと近付く、黄瀬の気配。
全てがスローモーションのように思えた。
「…ん」
そして、そっと黄瀬は触れるだけのキスを私にした。
「………………………」
少しの間の沈黙を破ったのは、黄瀬だった。
「…今ので、初めてだったんスけど、…緑間っちは?」
すぐにキスのことだと分かり、顔に熱が再度集まるのを感じつつ、答えた。
「…私も、なのだよ」
「そうっスか、…嬉しいっス!」
そう言って、黄瀬はにへっと笑った。
end