捧げ物

□教えて
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ふとしたときに貴方のことを思い浮かべて、

会いたいだとか、話したいだとか

そういうことを考えてる僕はおかしいだろうか。



くるくると巡る思考はピタリと収まる答えを見出すことが出来ず、時々横道に逸れたりしながらまた回り出す。





教えて





「おかしくねぇよ」

何を根拠に言っているのか、貴方は迷うことなく答えを導き出した。
艶のある長い黒髪を少し揺らして、不敵に微笑んで、何時もの貴方と何ら変わらない様子で。
人気のない夜の甲板、2人の声は波音にかき消されていく。

「…で、でも、ユーリも男で、僕も男…なんですよ?やっぱり」

「俺は別に気にしないけど?それに……」

コツリ、コツリと靴音を鳴らして数歩僕に近づく。
次の瞬間目の前が真っ暗になった。

「う、わ、」

「俺もそう思ってたし?」

ぎゅうっと力強く抱き締められては耳元でそっと囁く。
その声に、吐息にぞくりと肌が栗だった。

すぅ、と息を吸えば、ユーリの匂いが鼻孔をくすぐる。

「つ、つまり…?」

「俺もお前が好きだって言ってんの」

「…え」

言葉にされた感情は真っ直ぐに僕に届いた。
しかし理解するには余りに唐突過ぎる。実感が湧かない。

「今…、なんて…」

「………さぁな?」

フッと微笑んで少し首を傾げてみせる。
それから僕を抱き締めていた腕はほどかれ、彼の体温が離れていった。

「ほら、もう中入んぞ、風邪ひいちまう」

いつものように、何事もなかったように、ふらりと甲板から消えるユーリの背中を見送る。



『俺もお前が好きだって言ってんの』



それは僕の求めていた答えそのものであり、彼の口から聞きたかった言葉であり、つまりはこれは両思いと呼ばれるもので………。

「あっ、ま、待って!!ユーリ!!」





さっきよりも肌寒く感じる風から逃れるように、僕は貴方の背中を追った。



end

ぐらんぐらん様へ。
遅くなってしまったうえにとんでもない駄作になってしまいました…(´・ω・`)
本当に申し訳ないです!!(>_<)
甘々とのリクでしたのに全然甘くないですし……!!
こんな超駄作で良ければ受け取って下さいまし。

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