捧げ物

□君と私と夏祭り
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「あーっ!また逃げた!!んもぅ、全然取れないんだけどー。おじさん、一体金魚にどーいう教育してるわけ?」

「がははは!お嬢ちゃん面白い事言うねぇ!!どうだい?もう一回やってくかい?」

豪快な笑い声と一緒に3つセットのポイを差し出す金魚すくいのおじさん。
もう一回ぐらいチャレンジしたいけど、した瞬間お財布が空っぽになる事を考えると素直にうんとも頷けない。
せっかくの夏祭りを金魚すくいだけで終わらせたくないしなぁ。

だいぶ軽くなってきたお財布の中身を確認する仕草、それから苦し紛れの苦笑いをおじさんに向ける。
申し訳ないけどここらで切り上げないと私が破産しちゃうもんね。
遠慮しときます、とおじさんに告げると、その時横からぬっと腕が伸びてきた。
手のひらにはちょうど金魚すくいが一回出来る分のお金。

「ほらよ、おっさん。俺がやる」

「おうおう、次はにーちゃんか。うちの金魚はすばしっこいぞー」

「そうだよスパーダくん。おじさんったら金魚に教育までしてるんだから」

「教育だぁ?俺にかかればンなもん楽勝だっての。―――せりゃっ」

ぱしゃっ ぱしゃっ ぴしゃっ。

3回、水の跳ねる音。
スパーダくんが持つお椀には3匹の金魚がぴちぴちと生きの良さを主張していた。

「わぁ、スパーダくんすごい!!私なんか全然とれなかったのに」

「楽勝だって言ったろ?ほら、やるよ」

「っかー!!にーちゃんには参った!!お嬢ちゃん、夏祭り、楽しんできなよ!!がははははは!!」

「うん、有り難う!おじさん!」

透明なビニールの巾着の中で優雅に泳ぐ金魚が2匹。
さすがに3匹は多いような気がしたからスパーダくんにあげちゃった。
ちょっと迷惑そうな顔してたのはあえて見て見ぬ振り。

「なぁ、次は何処回るんだ?奢ってやるぜ」

「え、本当?えっとね、あ、たこ焼き食べようよたこ焼き!」

「リョーカイ。座れる場所探しとけよ」

「任しといて!行ってらっしゃーい」

やっぱり気前が良い男の子は頼もしく見えちゃうね。たこ焼き屋に向かう背中がとってもカッコ良く見えるよ。

さてと、スパーダくんが買ってくる間に私は適当に座れる場所を探してそこを陣取る。
どこを見ても人人人の中、此処だけは何故か込み入った様子はなくパラパラと人がいるだけだった。

「ほら、買ってきたぜ」

「やった!有り難う」

しばらくベンチの周りをふらふらしながら待つこと3分ほど。
たこ焼き2パックを片手にスパーダくんが帰ってきた。

待っていましたと言わんばかりに彼の手を引いて、ベンチまで案内する。

「ね、此処すいてるから座って食べようよ」

「あぁ、良いぜ」

ベンチに座ってみると人気が少ない理由がすぐに分かった。
此処からじゃ花火が見えないんだ。ちょうど木の影になってて花火が上がる方向の空は全く見えない。

でもまだ花火までは時間があるし今は此処で食べてても問題ないよね。

「はふはふ……んーおいひー!これぞ夏って感じだねー」

「だな。こうやって食うたこ焼きもなかなか上手い」

「だよねー。良かったよ、今日はスパーダくんと一緒に来れてさ。―――あつっっ!!」

二個目のたこ焼きを勢いに任せて頬張るとジュッと熱々のたこ焼きが私の舌を刺激した。
大丈夫か、と手渡されたお茶をごくごく飲み干し、口の中をとにかく冷ます。

「焦ってがっつかなくてもたこ焼きは逃げねーよ」

「あはは、ごめんごめん。はしゃぎすぎすぎちゃった。それに、スパーダくんに会うの…久々だったからさ。つい、嬉しくって」

「レイア……」

お互いに用事が重なりに重なってこうやって顔を会わせるのは久しぶりだった。
時々手紙なんかで連絡は取り合ってたけど、やっぱり直接会って話すのとは全然違う。会って話したほうが断然楽しいもん。

「もしかしてスパーダくんは…楽しくなかった?私ばっかりはしゃいで、迷惑だった?」

「……別に、んなことねぇよ。……俺も―――」

どん。

瞬間、大きな音が鼓膜を揺らした。
花火が上がったんだ。
花火の打ちあがる音と観客の歓声が、彼の言葉をかき消した。

「……え?何?聞こえなかった」

「聞こえなかったんじゃなくて聞いてなかったんじゃねぇの?2回も言わねーからな」

「えー良いじゃん別に減るもんじゃないしさー」

「うるせぇな。ほら、花火見るんだろ。行くぞ」

「もー、けち」

私の事をからからって、逃げるように走っていくスパーダくんの背中を追いかける。
まぁいいや、さっきの言葉は後で問いただそう。
何が何でも絶対聞いてやるからね。

人混みの中君がしっかりと握る私の右手、花火は鮮やかに花を咲かせていた。



君と私と夏祭り



end
うーーーーーーん。
スパーダくんのキャラが全然分からないです(´・ω・`)
申し訳ないですがこれに関しては書き直しをお断りさせて頂きます。
分からないものは分からない、私の勉強不足です、申し訳ありません。
 

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