魁
□SS/過去拍手
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(朱鴻元)
「おいみょうじ、止まれ。……お前の左肩、憑いているぞ」
「え? やだ、なんか付いてた? ごめん」
「待て、触るな。そのままじっとしていろ。俺が祓ってやる」
「払うくらい自分でやるよ。悪いし」
「馬鹿を言え、お前では無理に決まっているだろう。下手をすれば逆効果になりかねん。いいから言う通りにしろ」
「う、うん……(そんなに取りにくいものがついてるのかな? それにしては、手で払ってるだけに見えるけど……)」
「……………よし、これでいい。
いいかみょうじ。貴様のようなうすぼんやりした人間には、比較的こういうものが憑きやすくなる。
普段からとは言わんが、しかるべき場所では極力気を張っていろ。わかったな?」
「あ……ありがとう。気を付けます……」
「――ってことがこの前あってさ。鴻元って意外と面倒見がいい人なんだね、驚いちゃった。
それとは関係ないんだけど、最近ずっと凝ってた左肩もその日からやけに調子よくなったんだー。何が原因だったんだろ?」
「つかれが取れたようで何よりだな」
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