□SS/過去拍手
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(男爵ディーノ)



「そういえば先輩、私この前はじめて『ごうどうこんぱ』なるものに参加してきたんですよ」

「……ほおお。私というものがありながら男漁りにねえ」

「私とディーノ先輩がいつそんな仲になったんですか。というか男漁りなんて人聞き悪いです、友達の付き合いで行ったんですよ。
お名刺はちゃっかりもらいましたけど。ほら」

「では少々拝借」

「あっなにするんですか」

「なあに、ただのマジックですよ。この痴れも……いやジェントルマンの名刺をゾリンゲンカードと一緒に切ると……おっと!」

「ぎゃああ先輩!火!火が!」

「おやおや……これは失敬。カードに油を塗ったままだったせいで、摩擦により発火してしまったようですなあ。
名刺がすっかり消し炭だ。いやあ残念でしたねえ、素敵な出会いに発展したかもしれないのに」

「そ、そんなことどうでもいいです!手、手は、火傷してませんか!?」

「……えっ」

「ちょっと見せてください!」

「え……いや……それは、大丈夫だと思いますが……あ」

「…………うーん…………。良かった、何ともなってないみたい。
ふう、焦らせないでくださいよ。先輩って意外とおっちょこちょいなんですね」

「……君は、やはり狡いひとだな」



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